「ツアーでも緊張やプレッシャーは感じますけど、今週はそれとはまた違う種類のプレッシャーがありました。その中で、自分の中で“ちゃんと戦う”と決めて、18ホールを戦えたと思います。自分との対話がうまくいっていないと、スコアが崩れた時に、どんどん下を見てしまう。そうならないように、感情と向き合いながらプレーしていくことだと思っています」(横峯)

 18ホールを回る中で、「嫌だな、怖いな」と思う感情が出てくる場面は必ずある。それでも嫌だという感情と向き合って、自分の責任でクラブを選び、スイングを信じて打つ。それが今の彼女の「戦う」定義だ。

 この変化を、傍らで見守る森川氏はこう分析する。

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©文藝春秋 撮影・志水隆

「これまでは僕が目標を決めて、その方向へ背中を押して“一緒にやっている”ような感覚でした。でもそれを“自分のために、自分でやる”という形に、もう一段ちゃんと切り替えていこう、という話をしました」

夢は「夫と子どもと3人で優勝写真を撮りたい」

 かつて「30歳くらいで引退して専業主婦になる」と本気で考えていた少女は、アメリカツアーで家族帯同で戦う選手たちを見て衝撃を受け、40歳になった今も現役を続けている。

 今回のQT会場にも託児所が用意されていたことに、横峯は深く感謝していた。

「私自身だけでなく、これから若い選手たちが結婚や出産を考えた時に、『預けられる選択肢がある』というだけで、ゴルフを続けられると思える。その選択肢があること自体が大切だと思っています」(横峯)

©文藝春秋 撮影・志水隆

 ママさんゴルファーのパイオニアとしての矜持ものぞかせつつ、視線は来季へと向いている。

「まずは、年間を通してしっかり1年間戦ってみたい。その先に、上位だったり、優勝だったりが見えてくればいいなと思っています」(横峯)

 横峯はいつか夫と子どもと3人で「優勝写真」を撮りたいと言っていた。夫婦の形を10年かけて築き上げてきた2人は来季、その集大成となる一枚の写真を撮るため、これからも家族での旅は続く。

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