鼓膜が破れるほどのいじめにあった中学時代

――中学でもいじめは続いたんでしょうか?

手島 私をいじめていた人たちが、そのまま中学に上がってきたので続きました。マンモス中学校だったので、「敵が増えたな」と思っていました。私が階段を降りようとしたら、男の子が履いていた上履きを私にパーンッと投げてきて。それが耳元にあたって鼓膜が破れたこともありました。

――ええ。学校中の問題になりますよね、そんなことがあったら。

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手島 その時、ちょうど先生が現場を見ていて、めちゃくちゃ怒ってくれました。「大丈夫か? 手島」と言われたんですけど、私は大きなことにはしたくないと思って。だから鼓膜が破れて痛いんですけど、「誰にも言わないでください」と先生に言って、親にも言わずに病院だけ連れていってもらいました。

 うちは店もやっているし、いろんな生徒に自宅を知られているんです。だから、逆恨みされて危害を加えられたら嫌だなと思って。あと芸能界の夢の邪魔をされたくないという思いであったり、親や家族を守ろうとか色々考えちゃって。

©︎鈴木七絵/文藝春秋

――中学生が一人で背負いすぎていたのかもしれないですね。

手島 なんでそんなに背負ってたんだろうと今考えれば思うんですけれど。言っちゃいけないと思ってたんです。上履きのほかにも、男の子に面白がって物を投げられたり、掃除中に「人間掃除機」と足を持たれて廊下を引きずられたりとかは全然ありました。

夢と家族に支えられて「ギリ大丈夫かな」

――それはいじめの域を超えていますよね。

手島 当時はドラマ「家なき子」もあったし、いじめが流行っていたんですよ。自分の中では「ギリ大丈夫かな」みたいな感じです。学校の机に花瓶を置かれたり。それも普通だと思ってました。

――つらすぎますね……。それだと中学時代に恋愛とかはないですよね。

手島 いや、ありました。ただ、それも大問題で……。中学でモテていた先輩と両思いになれたんですよ。でも、そうなると標的ですよね。先輩の女子からも、同級生からも、下級生からも。教科書に「バカ」「ブス」「死ね」と書かれたり呼び出しを受けたり。

――聞いているだけでつらくなるくらいのいじめですが、芸能界に入るという夢があったから、頑張れたのでしょうか。

手島 もうその夢がなかったら、多分生きてないかもしれないです。「私には価値がない」とずっと思っていたので。あと親が過剰に褒めてくれる人なんですよ。だから家に帰ると自信を取り戻して生きていけた感じです。