「まるで、殺人事件とひかれあってるみたいやな」
ここまでがプロローグ。本編がはじまったのは、2週間後の12月17日の放送だ。物語は電気イスゲームの収録現場から再開された。ゲームの参戦者としてモニタールームにいた小籔千豊と岡野陽一が、スタジオに入ってくる。どうやら2人はドッキリの仕掛け人だったようだ。小籔は津田に向かってこう語る。
「名探偵がいるところに、殺人事件あり。まるで、殺人事件とひかれあってるみたいやな。津田、いや名探偵津田。お前の力が必要や。この事件を解決してくれ」
こうしてはじまった名探偵津田・第4弾。その後の物語は、幽霊やタイムマシンの登場など、ジャンルも時空も越えたこれまでにない展開を見せるのだった。
TVerで歴代最高再生数を記録、「好きな説」でも1位に
さて、改めて考えてみよう。名企画の多い『水曜日のダウンタウン』のなかでも、名探偵津田シリーズは屈指の人気を誇る。TVerでの配信開始後6日間の再生数は、バラエティ番組として歴代最高を記録。番組10周年を記念した「視聴者&出演者が選ぶ“一番好きな説”」でも、堂々の1位となった。シリーズ第3弾で津田が発した「長袖をください」は、「2025 T&Dグループ新語・流行語大賞」にノミネートされた。
なぜ、名探偵津田はこれほどまでに人気があるのだろうか。
人気の中心にあるのが、津田の感情豊かなリアクションであることは間違いない。何かあれば大きな声をあげ、混乱すれば頭をかきむしる。思い通りにいかないと、すぐに癇癪を起こす。しかし、謎が解けた瞬間には、心底うれしそうな表情を見せる。
探偵役としての振る舞いを求める融通のきかない周囲のエキストラに当たり散らす一方で、助手役の女性とのあいだにロマンスの兆しが見えると、今度は探偵役を隠れ蓑に自身の下心を満たそうとする。
コロコロと切り替わる津田の表情と、そこからうかがえる輪郭のはっきりとした感情。それが、観る側のおかしみを誘う。
