こうしてみると、売れ筋のカップ焼きそばが持つ訴求力のエッセンスを抽出して、ひとつのカップに集約させたかのような製品だ。なくても困らない要素をバッサリと全て削ぎ落とし、麺の量とからしマヨネーズで商品を特徴づけている。
現在販売されている商品を実際に食べてみると、もちっとした中細麺にスパイスと果実の風味を感じるまろやかなソースが絡み、からしマヨネーズで全体を引き締めている。そんな印象を受ける。具のキャベツはわずかで麺の量がかなり多いが、最後まで食べ飽きず、満足度が高い。
オープン価格という条件下で原価を抑えつつ、ギリギリできる限りのクォリティに仕上げたのだろう。開発者の苦労が偲ばれる。もちろん原価をなるべく下げるため、宣伝広告は一切行われていない。
〈ごつ盛り〉シリーズは発売直後から急激に売上げが伸び……なんてこともなく、地道な販売促進により陳列棚の一角に積み上げられ、淡々とコンスタントに売れ続けた。
〈ペヤング〉不在で〈ごつ盛り〉躍進
〈マルちゃん ごつ盛り ソース焼そば〉に大きな動きがあったのは、2015(平成27)年のことだ。
2014(平成26)年の年末に、〈ペヤング ソースやきそば〉の異物混入事件が発生した。まるか商品は全商品を自主回収すると同時に、全工場を停止。販売再開する2015年6月まで、半年もの間〈ペヤング〉が店頭から姿を消した。
その間に、〈ごつ盛り ソース焼そば〉は大きく売上げを伸ばした。『食品新聞』2015年7月31日号では、同年上半期のカップ麺市場について、次のように報じている。
異彩を放っているのが名立たる定番ロングセラーブランドを押しのけトップ10入りした「ごつ盛り ソース焼そば」(東洋水産)。〔中略〕
発売当初からNB並みの品質価値を持つ商品として高い評価を得ていたが、〔中略〕定番「ペヤングソースやきそば」(まるか食品)の不在もあり、一気にシェアを拡大、トップ10入りした。
カップ焼そば市場は、これまで「日清焼そばU.F.O.」(日清食品)、「一平ちゃん夜店の焼そば」(明星食品)と「ペヤングソースやきそば」が上位を占めてきたが、今回のデータでは「ごつ盛り ソース焼そば」が「一平ちゃん夜店の焼そば」に肉薄している。(2頁)
