味噌汁をごはんにかけて食べるのは、ありですか? なしですか?
と、唐突に質問から始めてしまったが、答えは大きく割れるのではないだろうか。
私事ながら、年末に「スープかけごはん」の本を出版した。要するに、汁を飯にかけて食べる、という提案である。きっかけは、編集者の息子が、保育園での食事どき、家でやっているように味噌汁をごはんにかけて食べていたら「お行儀が悪いからやめようね」と言われたという小さな出来事だった。
「有賀さん、でも、汁かけごはんだと忙しいときにお皿1つで済んで楽だし、喉を通りやすいせいか子供たちも良く食べるし、肉も野菜も一緒にとれるし、忙しい現代の食生活にはぴったりだと思うんですよ!」
子供の話からスープかけごはんの企画を思いついたという編集者は、池袋の喫茶店で私に力説した。
ごはんやパン、パスタ、豆などの炭水化物をスープに入れて一皿で一食にするという食事は、世界中に見られるものだ。スープ作家の私にはとくに珍しいものではないし、これまでのスープで手軽に豊かに食事をまかなおう、という主張にも、スープかけごはんはぴったりだ。本の出版は願ったり叶ったり、である。
クリームシチューはごはんにかける・かけない
問題は、この保育園での一件のように「汁かけごはんは行儀が悪い」という否定派がかなりの数、いると思われることだ。それを裏付けるような議論が、先日、私の周辺でもあった。SNSで「クリームシチューはごはんにかける・かけない」という小さな論争が起こったのだ。私は毎朝Twitterに作ったスープの写真を投稿しているのだが、チキンクリームシチューを作ってごはんにかけたものを投稿したところ、「クリームシチューをごはんにかけるのは抵抗がある」という意見が出た。やっぱり行儀が悪いというイメージがあるのかな……と私がふとつぶやいたことを発端に意見が飛び交い、思いがけず、シチューをごはんにかける・かけない論争が盛り上がってしまった。
かける派の意見には
「シチューかけごはん大好きです、たまらない!」
「これに溶けるチーズをのせるのがおいしい!」
「カレーと同じで、かけない理由がない」
「家族で、上からたっぷりかける派と右にかける派が分かれています」
「実家では最初からごはんにシチューがかかっていた。懐かしい」
このようなシンプルなものが多かった。