「お客さんの数は全盛期の、10分の1くらいじゃないかな」温泉街として賑わう一方、色街は…

 ここで、衰微する「色」から離れた。英断があった。高齢化していた旅館組合メンバーを総入れ替えし、若い世代に全面的にバトンタッチをしたのだ。2008年には駅名も、「雄琴」についたイメージをふりはらうように、「おごと温泉」駅に改称した。

 駅前に足湯を設置したり、施設側も若い世代の経営者たちが足並みをそろえ、女性や子供も楽しめるプランを用意したりと、さまざまな場面で旧世代とは違った運営方法がとられ、客層を入れ替えつつ、すこしずつ温泉地は賑わいを取り戻していった。いまは女性、家族連れで賑わいを見せている。

 一方、今後の色街はどうなるのだろうか。A氏は苦笑する。

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「もう今は、お客さんの数は全盛期の、10分の1くらいじゃないかな。それでも働いている女の子は500~600人はいる」

 20年以上にわたって雄琴ソープで働くB子は、その女性たちの変化に嘆く。

「新しく入ってきた女の子にマットとか教えたりしても、(真面目に学ばず)もう楽して稼げるっていう感覚しか持ってへん。私らが入った当初は、お姉さんたちから、ちゃんとお仕事せえへんかったら、お客さんは来ないよって教えられたのに」

現在の雄琴。ソープランドのネオンが輝く(筆者撮影)

「女の子も、お客さんも、この10年でほんとうに変わった」

 技術的向上心は持ち合わせず、指名を増やしていくより、長時間店に出勤しフリー客の数をこなすことで売上を作る女性も増えているのだという。かつてもっともきれいに遊んだのは、背中一面に彫り物をした人々であったが、そうした人々もめっきり減ったという。一方、「遊び」である意識を持たない客が新たに増えてきた。B子は言う。

「若い男の子たち、お金を持っていないというのもあるけど、見栄張ったり、ちょっといい車乗ったり、みたいなギラギラしたところがなくなった。言葉はあれやけど……かわりに、コミュニケーションがとれないタイプの人が増えた。『色恋ガチ勢』、増えていますよ。LINE交換したり、キャバクラみたいにアフターしたりね。XとかSNSで交流して、そういうお客さん取りに行く子もいますよ。女の子も、お客さんも、この10年でほんとうに変わった」

 これからの未来がどうなっていくかの予想は、A氏、B子、ともに悲観的であった。

「あと10年、15年したら、店の数は半分くらいになっているかも」

 本稿は、中立なルポを心がけて書かれている。だが、ここからは歓楽街を歩いてきた筆者の個人的な思いもひとつ述べさせてほしい。街の表面に出るなにもかもが、クリーンで清潔でなければならないのだろうか。そうでないものは、いまや地下に潜るほかない。

 誰かが一方的に搾取されないのであれば、街のどこか一角に、人がオモテに出しにくい顔を引き受ける場が残ってもいいのではないか。各地の色街の趨勢を頭では理解しながら、時代に合わない感傷も抱かずにおれなかった。

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