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最初に我慢できなくなるのも親父
家にはいないはずの親父が、ずっと家にいる正月休みは、子供にとって生活のリズムを乱される日々となる。街から離れた崖の上の一軒家のこと、年末年始に、訪ねてくる人もいなければ、人を訪ねて山を下りることもない。親父と兄弟四人だけで遊ぶこの一週間に、一年分の親子のスキンシップがひっくるめられていた。
ところが、正月は家族が揃うものと自ら望んだこの状況に、最初に我慢できなくなるのも、やっぱり親父だった。子供には、友達との外出も許さないその当人が、元旦も過ぎれば落ち着かない。しきりにどこかに電話して、遊びの段取りを組んでいる。翌朝、セールバッグ片手に、艇に乗りに出ていってしまう。「子供は三箇日は、家から出るな」と言い残して。