近年では2020年に世界各国で対GDP比が上昇したが、これは新型コロナの影響でGDPが落ち込んだにもかかわらず各国が軍事費は削減されなかったためと思われる。
その後、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を契機にNATO諸国および日本で対GDP比が上昇傾向に転じた点が印象的である。特にそれまで低レベルだったドイツの上昇が目立っている。
一方、米国の対GDP比はほぼ横ばいであり、米国は「世界の警察官」の役割を放棄し、NATO諸国や日本に応分の負担を求める方針に転換したように見える。
しかし、米国は平和国家を目指す方向に転換したわけではないことは、今回のベネズエラ作戦ではっきりしたようだ。同盟国に軍事費を肩代わりさせて浮いた分を、むしろ西半球で使い、地域支配から自国利益を引き出そうとしているようだ。モンロー宣言ならぬドンロー宣言(ドナルド+モンロー)を打ち出しているのもその表れと言えよう。
日本の軍事費も1%から大きく拡大
中国は、軍事大国化が日本をはじめ世界から懸念されているが、総額は母数のGDPが増大したのでやはり大きいものの、対GDPでは最新で1.7%と主要国と比較して低い。
日本はかつて各国で大きく軍事支出がアップダウンしていた頃にもそうした世界の大勢にかかわりなく、ずっと対GDP1%以下を維持し続けていた。最近の動きとしては、1%以下の準則をあっさり放棄した点が目立つが、そのことより、世界の動きに追従するようになった変化のほうが印象深い。NATO諸国の対GDP比は冷戦時代に多少戻ったにすぎないが、日本の場合は初めて状況なのである。対中関係を悪化させている2025年11月の高市発言の「台湾有事」を持ち出さなければ理屈がつかないと言ってよかろう。
世界的な軍事産業や武器商人のロビー活動が功を奏していると見られる。他国に軍事費負担をシフトさせている米国は自国の税金を使わずに自国の軍事産業を潤すこととなるので好都合だろう。