米国がベネズエラのマドゥロ大統領を拘束したことに対して、多く国から非難や懸念の声が上がっている。統計データ分析家の本川裕さんは「ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ攻撃に続く軍事作戦による現状変更を行ったものであり、世界は硝煙のただよう時代へと突入した感がある」という――。
硝煙ただよう世界情勢
本年1月の米国陸軍特殊部隊によるベネズエラのマドゥロ大統領夫妻の拘束、米国への強制送付、さらに米国トランプ大統領による同国石油資源の米石油企業による開発の表明に対しては、中国やロシアから非難されるばかりでなく国際社会が大きな懸念を表明する事態となっている。作戦への明確な賛意を表明しているのはイタリアとイスラエルぐらいだ。
ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ攻撃に加え、さらに米国そのものが軍事作戦による現状変更を行ったものであり、世界は硝煙のただよう時代へと突入した感がある。そこで今回は、データで世界の軍事拡大の流れを確認して行こうと思う。
まず、世界各国の国民がどの程度、軍拡を支持しているのかについて、世界的な世論調査会社であるフランスのイプソス社の国際意識調査の結果を見てみよう。
イプソス社は、世界情勢・安全保障(WORLD AFFAIRS & SECURITY)に関して世界30カ国を対象に行った調査の中で各国国民の国防意識について何点かの問を設けている。本記事では、そのうち財政的側面である「軍事費拡大」と人的側面である「徴兵制」についての調査結果を紹介しよう。
軍拡ムードに染まる世界各国
徴兵制については後段で紹介することとして、最初に軍事費拡大の意向について見てみよう。
ロシアによるウクライナ軍事侵攻、イスラエルのガザ攻撃に伴う東欧・ロシア圏や中東の安全保障上の情勢悪化で世界各国の国防意識が刺激され、軍事費拡大への賛意も高まっている(図表1)。
調査した30カ国平均でも60%が軍事費拡大に同意している。
