初対面での夫・三浦友和の印象は…

 当時山口百恵15歳、三浦友和22歳。百恵さんは初対面の印象を、著書『蒼い時』にこう書いている。

〈緑地公園にトレーニングに来ているスポーツ選手という印象を持った。即座にそう思えるほど、彼は健康的だった。しばらく間があって、スタッフから紹介され、挨拶を交わした。「よろしく」 別に笑顔も作らずに、彼はそのひと言だけを置き去りにした〉(山口百惠著『蒼い時』集英社文庫)。

 続けて、このぶっきらぼうさに「肩すかしを喰わされ」たとしながらも、少しも不快ではないことに驚いた、と回想している。

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 三浦友和も、初対面について著書『相性』で振り返っている。

「当時のアイドルは、みんなキラキラしていて、屈折している自分からすると、あの優等生ぶりが鼻についた。ところが彼女は、そういうお決まりの雰囲気がありませんでした。私のほうはというと、不愛想で嫌な感じだったと、当時を振り返って妻は言います」(三浦友和著『相性』小学館文庫)

 思わず「実は嫌な感じではなかったそうですよ」と、時空を超えてお節介な口を挟みたくなるような、微笑ましい恋の始まりの記述だ。

 その後、このグリコのCMをきっかけに、三浦友和は百恵さん主演の映画『伊豆の踊子』の相手役に抜擢されるのである。それは実は予定になかったことで、西河克己監督が「このコマーシャルに出ている彼にしたい。でなきゃ俺は監督を降りる」と三浦を猛プッシュしたという。運命の歯車というものは、本人たちの知らぬところで勝手に誰かが回しているものだとつくづく思う。

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 そして、この「伊豆の踊子」が大ヒットし、二人はその後、映画・ドラマともに何作も共演。ゴールデンコンビとなり、絆を育んでいく。『絶唱』『春琴抄』といった文芸作品、大映ドラマ「赤いシリーズ」(1974年~1980年 全9作)、サンフランシスコロケの『ふりむけば愛』など、リアルタイムで追いかけ、二人の姿に心を熱くした人も多いだろう。