日々の生活から切り離せない「建築」の世界。「一級建築士」という言葉には馴染みがあっても、彼らが具体的にどのような思考で街を形づくっているのか、その実像を知る機会は少ない。
だが、そんな未知の世界を、一般読者にもわかりやすく解き明かしてくれる漫画がある。鬼ノ仁さんの『一級建築士矩子の設計思考』(日本文芸社)だ。
建築業界はもちろん、一般読者からも幅広い支持を集めている本作。しかも作者の鬼ノ仁さんは、もともと成年向け漫画をメインに執筆していたというから驚きだ。一体どんな経緯で本作は生まれたのか。担当編集者の早坂比呂氏に話を聞いた。(全4回の1回目/マンガを読む)
唯一無二の“ガチすぎる描写”が話題に
本作の最大の特徴は、作者・鬼ノ仁さん自身が「一級建築士」と「1級建築施工管理技士」の資格を有する、本物の“建築士”だということだ。
「一級建築士という難関国家資格を持ち、かつ漫画を描けるという作家さんは極めて希少です。専門性はもちろんのこと、ストーリーに説得力やリアリティーを持たせられるのが、他の作品にはないポイントだと思います」(早坂氏)
鬼ノ仁さんは商業デビューの前、20歳のときに建築設計事務所に就職し、27歳で独立して事務所を開設。建築をテーマとした漫画は、いつか取り組んでみたいテーマの一つだったという。
「初めて現場を担当する独特な緊張感や上司の厳しさ、主人公の矩子が日を追うごとにボロボロになって行く過程……そうした非常に生々しい描写には、先生の実務経験が強く反映されています。
建築現場のトラブルを扱った回では、業界内から『めちゃくちゃ分かります!』という熱い反響をいただきました。実際に働いているからこそ描ける、一般の目線では気づけない細かな『あるある』が刺さるそうです」(早坂氏)
編集部が想定した以上の大ヒットに
単行本1巻が発売されるや否や、編集部の予想を上回るヒットを記録。紙と電子を合わせた累計発行部数は15万部を突破した。
「建築士を目指して専門学校に通う学生さんから『受験へのモチベーションになった』という感想をいただいたときは、感無量でした。建築業界への興味の入り口としてはもちろん、矩子たちの人間ドラマにもぜひ注目していただきたいです」(早坂氏)
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この漫画の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。


