生まれた瞬間「え?」「手はどうなってるの?」
――リタさんは右手がない「先天性四肢欠損症」ということですが、アンナさんが気付いたのはどのタイミングで?
アンナ 産婦人科の先生が「産まれたよ」とリタを胸に乗せてくれた瞬間、すぐに「え?」となりました。「手はどうなってるの?」と。
――その他の健康状態は問題なかったのでしょうか。
アンナ 出産に30時間もかかったこともあり、顔も紫色で泣き声も出せずに窒息状態になっていました。それに加えて手のこともあったので、救急箱のようなものすごく小さい持ち運びできるベッドに入れられ、あっという間にどこかに連れていかれてしまったんです。その瞬間は私もリタの手のことでパニック状態で、よく分かっていなかったのですが、大きな病院に移送してくださっていました。
――出産直後に撮影された3人の記念写真がありますが、これはその直前に撮影されたものだったんですね。
アンナ あれは本当に一瞬の合間に撮った写真ですね。「手はどうなってるんですか?」と先生にたずねる暇もなく、「赤ちゃん元気だからね。はい、写真撮っておこう。はい、チーズ」で、次の瞬間にはもういない、みたいな(笑)。
今だから笑って話せますけど、あの時はすべてがスローモーションで過ぎていくような感覚でした。
「あの時飲んだ薬が…」「もっと詳しく見てくれれば」自分や周囲を責め続ける時間を過ごした
――胎児ドックも受けていたわけですけど、リタさんの右手のことは出産までわからなかったと。
アンナ だからやっぱり最初は自分のせいにもしたし、先生とか、病院のせいにもしました。
あの時飲んだ薬がいけなかったんじゃないかとか、あの日ちょっと走ったのが悪かったのかなとか、思い当たることを探しては自分のせいにして。
で、自分のせいにしきった後は、「なんでもっと早く気づいてくれなかったんだろう」とか、「もっと詳しく妊婦健診で見てくれればよかったのに」と、先生や病院のせいにしていたんです。
――「先天性四肢欠損症」の原因についてはどんな説明がありましたか。
アンナ 医学的にも解明されていない部分が多い障害で、はっきりとした原因はわからないそうです。
知識をつけたりいろんな人の話を聞いたりする中で、「誰のせいでもなかったんだ」と受け止められるようになりましたが、出産直後は、今思えば、自分や誰かのせいにすることが心のよりどころになってしまっていたと思います。
