高齢者の毎日は死に近づいていく日々です。病気を予防しても治療しても、老いていくのですから死に近づきます。まして、手術や入院で体力が衰えたり、食事や運動が制限されるようになると老いは加速します。

つまり、健康とは病気のない状態と思い込んでしまい、その健康にこだわればこだわるほど死に近づいてしまうことになります。

「年なんだから好きにさせてくれ」はわがままか

同時に、毎日の生活の中の自由度も失われます。病気予防のためにたくさんの欲望を抑えつけ、規律正しく暮らそうとすれば、どうしても不自由を受け容れるしかなくなるからです。

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これは、せっかく手に入った自由を手放し、わざわざ自分に不自由を強いながら老いていくということです。そういう様子を見ていると、「年をとってしまうと、自由なんかどうでもよくなるのかな」と思ってしまいます。

「せめて、家族や周りに迷惑かけないように暮らさなくちゃ」と思い込んでしまうと、怪我をしたり病気になったりしないこと、そして、心配させないことが大事になります。どうしてもおとなしく暮らすようになってしまうのです。

私はそこに大きな思い違いがあるような気がします。

むしろ逆に、「年なんだから好きにさせてくれ」とか、「自分の人生なんだから思い通りに終わらせてもいいじゃないか」といった自由への執着が出てくるのは当然だし、私はそれを“わがまま”とは思いません。

「お疲れさん」と自分を労わってもいい年齢

つまり、周囲や家族に遠慮しなくていいということです。

70代80代ともなれば、それぞれいろいろな人生を経験しています。そして、どんな人にも不自由を強いられた長い年月があったはずです。

その不自由からやっと解き放たれたのに、そのことに気がつかないでまだ規則や規律を自分に当てはめて、「健康に長生きしなくちゃ」と自分に言い聞かせる人が大勢いるのはなぜなのでしょうか?

いま、日本人の平均寿命は女性が87歳、男性が81歳ですが、ご存じのように健康寿命、つまり健康上の問題による日常生活の制限がなく、すべて自分で動いて不自由なく暮らせる年齢となるとガクンと下がります。女性が75歳で、男性が72歳です(2022年)。