どうせなら健康なままで年を重ねたいと誰でも思いますが、逆に言えば、もう「お疲れさん」と自分を労わってもいいのがこの年齢ということになります。

ずいぶん無茶もやったし無理も重ねてきました。70代半ばといえば団塊世代ですから、受験勉強も競争の激しかった世代です。就職しても出世競争が続き、勝ち残りはほんの一握りですが、地方から出てきて、東京の会社で働いて首都圏にマイホームを建て、子どもの教育にも熱心だったのがこの世代です。

「まだ死ぬわけにはいかない」の功罪

反抗の世代でもありました。学生運動に限らず、既存の習慣や組織、価値観を否定し、打ち破り、自分なりの生き方を探った世代でもあります。大勢の中に埋もれないためにも自己主張し続けた世代です。

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そういう世代が、なぜやっと手に入った自由を楽しもうとしないのかと考えたときに、その理由として浮かんでくるのがこの健康寿命です。体力や意欲も含めて、自分の衰えを自覚し始める年齢だからです。

加えて、そろそろ同世代の入院や死、施設への入所などが耳に入ってきます。「私もそういう年なんだな」と気がついてくる年代です。

すると、どうしても「用心しなくちゃ」という気持ちになります。

「まだ死ぬわけにはいかない」と思えば、「健康に注意して規則正しく、きちんと暮らさなくちゃ」という気持ちになってしまうのです。せっかく自由になれたいまよりも、残りの人生を生き抜くことのほうが大事になってしまいます。

外出や移動の制限を日本人がどう受け止めたか

これは私の実感ですが、日本人はなぜか自由を制限されることに鈍感です。

そのことにはっきり気づかされたのがコロナ禍のときでした。移動や外出を制限されても素直に従いました。感染拡大を防ぐためのマスクの着用にも、ほとんどの国民が応じました。

不要不急の外出や移動の禁止にしても、マスクの着用にしても、法的な規制ではありません。でも、現実には遊びや気分転換で旅行したり外食したりする人はほとんどいませんでした。これでは飲食店も観光地のホテルや旅館も休業するしかありません。出かけたくても出かける先がなくなったのです。