「文藝春秋」最新号では、カレーハウスCoCo壱番屋の創業者である宗次德二氏が第一号店をオープンするまでの秘話を語っている。元々、2店舗の喫茶店を経営していた宗次さんが、3店舗目に開業したのがカレーハウスCoCo壱番屋の第一号店である(文中敬称略)。
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直感的に決めた専門店
「多くのお客様のご要望もあって三号店の出店を考える中、とりあえず即、売り上げを伸ばす方策として、出前を始めようと決めました」
その出前メニューとして考えたのがカレーだった。
「妻の直美が新婚当初から作っていた得意料理で、私自身、妻のカレーが大好きでした。あのカレーを出せば、お客様に喜ばれる。そう考えて直美に試作をしてもらいました。
ただ、私自身は家庭でおいしく味わっていたんですが、商売で出すとなると舌も厳しくなります。固形や缶詰、レトルトカレーなど、多くのカレーを試食したところ、どれも“納得できる味”ではありませんでした。そこでブレンドしたスパイスをベースに固形のルウをプラスし、妻がさまざまなアレンジを加えていったのです。そうして毎日食べても飽きることのないカレーが出来上がりました」
完成したカレーは飛ぶように売れた。
「配達用の軽のワンボックスには《コーヒー一杯でもお気軽にどうぞ バッカスの出前サービス》とペイントし、熱々のカレーと共に、出前のメニューを引っ切り無しにお届けしていました。カレーの人気は、出前と店内提供とで非常に伸び、直感的に私はカレー専門店の出店を決めたのです」
そう決心するや否や、宗次は店舗探しに取りかかった。
「条件はバッカスから近いところとしました。最初に戦略的にも三流立地で良いとして、そう決めた数日後の77年のある日、超せっかちな私は、早朝の新幹線に乗って業界誌の新店情報の切り抜きを持って12店舗を見学しようと東京へ向かったのです。時間もお金もないから自由席。日帰りの出張でした」

