それでも強く記憶に残っているということは、それほどスポットCMの数が多かったということでもあるが、小野社長は「うちはずっと同じCMを流してるからね。それで覚えてもらえてるんじゃないかな」とも語っていた。それくらいオノデンの景気もよかったのだろうが、現在は極端に減ってしまっている。「またやりたい、とは思っているんですけどね」と、小野社長がポツリと言った。

家電なのに価格で勝負しない

オノデンの頑固さといえば、いまだに店舗が秋葉原の本店ひとつだけというところに象徴されている。大手の家電量販店が東京だけでなく地方にも店舗を展開しているなかで、かなりの頑固ぶりである。

家電量販店といえば、「低価格で勝負する業態」と思われているのではないだろうか。低価格を実現するためには、「大量仕入れによる大量販売」が武器になる。大量に仕入れるとなれば、メーカーも大幅な値引き要請に応じざるをえないからだ。

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大量に仕入れたものを大量に販売するには、どうしても多店舗が必要になる。多店舗展開は「低価格勝負」のためには必須のはずである。その王道をオノデンは否定している。

小野社長は、「うちはレッドオーシャンには参加しない」と言い切る。レッドオーシャンとは、価格競争や顧客獲得競争が激しい市場を指す言葉である。

家電市場は、まさにレッドオーシャンでしかない。少しでも安い他店があれば下げますよ、と謳って集客に躍起になっている店も少なくない。というより、そういう店ばかりだ。「あっちの店ではこれくらいだったよ」と言って値引き交渉する客も珍しくない。

そんななかでも、低価格勝負をしないと言い切る家電量販店がオノデンなのだ。社長の個性そのままなのか、オノデンは頑固である。

オンラインショップは“訳アリ品”で勝負

しかし取材がすすむうちに、最初の小野社長に対する頑固という印象は薄れてきていた。言葉ひとつひとつには揺るがない信念のようなものを感じさせるが、訳のわからない頑固一点張りではない。応対の姿勢は柔らかいし、質問には真摯に答えてくれる。頑固さと柔らかさを併せ持つ人物である。