店舗数を拡大しない頑固さの一方で、オノデンはじつは柔軟な店舗展開を実行してきている。そのひとつがオンラインショップである。家電もオンラインショップで購入する消費者が少なくないなかで、家電量販店では不可欠の販路となりつつある。実店舗は増やさないが、そうした時代の流れには乗り遅れていない。
ただし、「オンラインショップには商売になるものしかださない」と小野社長は言った。オンライン販売は、それこそレッドオーシャンの世界だ。消費者はネットサーフィンでもって少しでも安く売っている店を探すし、価格比較のサイトさえある。そういう世界で、レッドオーシャンに参加しないオノデンが戦えるのだろうか。
「たとえば、最新型より安く売れる3年前の型落ち(旧モデル)エアコンだったりします。ほかの店は在庫がないから売ろうにも売れません。うちだけが売るので、売値は安くても粗利は多い」
“一店舗だけの強み”で他店と差をつける
なぜオノデンが3年前の商品を持っているのか。そこには、“一店舗だけの強み”がある。
そもそも3年前の商品はメーカーの在庫も少ないので、多店舗展開をしている店だと全店舗に置けないので、仕入れできない。同じ系列なのにA店舗にはあるけれどB店舗にはない、とは言えないからだ。その点、オノデンは1店舗なので、メーカーに1台しか在庫がなくても仕入れて店に置ける。メーカーとしては処分したい商品なので、それだけ安く仕入れることもできて、粗利が多くなる。
「創業者である父親は、そんな商品を“猫またぎ”と呼んでいましたけどね」と言って、小野社長は笑った。
猫またぎとは「魚好きな猫も跨いで通るほどマズい魚」という意味で、つまり多くの家電量販店が見向きもしない商品というわけだ。しかし、オノデンにとっては猫またぎどころか“お宝”である。
家電の最新機能を追わない消費者は、型落ちでもリーズナブルな商品を選ぶ。そんな型落ちを求めてオノデンに足を運ぶし、リーズナブルさに惹かれてオンラインショップで購入してくれる。安いものを探してネットサーフィンしているとオノデンの型落ちだが安い商品にたどりつき、「最新機のなんていらないし、この性能でこの価格なら型落ちでもラッキー!」と考える消費者に購入してもらえる。