「必要とされるものがあれば仕入れる努力はします。インバウンド客からすれば、ここは電気専門店ではなくて、日本のものを売っている店でしかありません。インバウンド客と話していて、必要とされているものがあれば仕入れます。だから、うちには酒もあれば、爪切りだってあるんです」と、小野社長は説明する。
ひところの日本は中国人観光客の“爆買い”で大いに潤った。秋葉原も例外ではなかったが、それもひと段落着いた印象である。日中関係が険悪になって中国人観光客は減少ぎみだが、それでも秋葉原を歩けば、あっちでもこっちでも外国語での会話が飛び交っている。そうしたインバウンド客が存在するかぎり、必要とされる日本のものがある。その需要に、オノデンは敏感に応えている。
インバウンド客の売上割合は15%
とはいっても、オノデンがかなりの売り上げをインバウンド需要に頼っているというわけではない。小野社長に訊ねてみると、すぐに答えが戻ってきた。
「全売上に占めるインバウンド客の割合は、金額的には15%くらいですね」
そんなものなんですか、と思わず素直な感想が声にでてしまった。それに、ニコニコしながら小野社長は、「だって、インバウンド客は冷蔵庫とかエアコンは買いませんからね。爪切りを何十個買ってもらっても、冷蔵庫1台分の売り上げにはかないません」と返してきた。
冷蔵庫やエアコンに比べれば、ドライヤーやアイロンの売り上げは大きくない。フィギュアやTシャツ、キーホルダーなどのお土産物となると、もっと小さい。薄利多売という言葉があるけれど、それが成り立つほどインバウンド客相手の商売は甘くはない。
一番売れているのは「普通の家電」
それでも小野社長は、「オノデン全体の売り上げは公表していませんが、すこしずつ伸びてきています」と言う。
店舗を必要としないオンラインショップで稼いでいるのかとかさねて訊いてみると、「ひとつだけしかない店舗の売り上げが全体の7割から8割を占めています」という答えが戻ってきた。店舗の売り上げといっても、インバウンド客での売り上げは先ほど説明があったように15%でしかないし、サブカルチャー関連で大儲けしているとも思えない。