もう一人の母親は言う。
「6歳まで保育園に預けている期間は、本当に良かった。保育園の存在はネオ・ネグレクトを防いでくれるのではないかと考えます。保育士さんはちゃんとわが子を見てくれるし、友だちとみんなで夕飯まで食べてくるので」
小学校という新たな「壁」
この母親曰く、このタワマン地域で親たちを悩ませているのは、わが子が小学校に入って以降なのだという。先に述べたが、父親の子育てへの関与の度合いが小さくなるからだろうか。それも一因かもしれないが、実はもっと大きな理由があるという。
「小学校に入ると、今度は小学校の学童保育を利用するようになりますが、保育園と違って夜遅く、たとえば22時まで預かってくれるなんてことはありません。しかも、子どもたちって全体的に学童に嬉々として通うのは1~2年程度なのです。小学校3年生にもなると、学童で遊んでいることが幼稚に思えてしまうのではないでしょうか」
そうすると、共働きで日中はほとんど親が面倒をみられない子どもたちは放課後以降どう過ごすのだろうか。ここで問題になってくるのは、「わが子がどう時間を潰すのか」という点である。だからこそ、わが子の学童離れと共に新しい習い事、たとえば進学塾などに通わせる家庭が、このタイミングで激増するという。
親にとってはわが子を託せる場所、子にとっては自分が楽しく過ごせる場所を確保しないといけないというわけだ。
タワマンの自治会を運営する男性はこう語る。
「有料の学童クラブが人気ですよね。そういうところだと高いところで月額15万円から20万円ぐらいかかると聞いています。学校が終わると校門の近くにちっちゃいハイエースみたいなバンがよく迎えにきていますよ。それで子どもたちをその学童クラブに連れていく。その学童では学校や塾の宿題に取り組ませたり、スポーツのプログラムがあったり、理科の実験のプログラムがあったり、英語教室があったり……子どもたちが学んだり遊べたりするコンテンツを豊富に提供しています。その合間におやつを与える。そして、各種コンテンツを終えたあとに夕食を提供する……。お金さえ払えばそういうサービスを受けられるのです。いまは公の制度としてはこれに相当するものはないですよね」
ただし、このような各種習い事は時間制限が設けられていることがある。そのため小学生が、民間学童で過ごしたあとに、次の習い事先へ移動する……これが連日続く事態も取材で明らかになった。ある意味、習い事の教室が、6歳までずっと通っていた保育園の代わりの役割を果たしているのである。
