「M-1決勝に出たら人生変わると思っていたけど…」
楢原 後輩たちとしゃべってるとM-1の決勝に行けばなんとかなるって思ってる芸人も多くてびっくりする。いやなんともならない、別に決勝行っても。
出井 ほんとそうなんだよね。今の漫才師、芸人って、もうネタが面白いのは当然というか。昔よりもはるかに技術水準高いし、学生芸人4年やってから入ってくるやつもかなり増えてるし、それが普通になってきてる。ネタが面白いのは当然として、プラス5年後、10年後の自分のビジョンを描けてるやつしかもう生き残れなくなってくるのかなとは思いますね。
――難しい。ビジネスパーソンにも通じるお話。
楢原 結局、個人事業主なんだよね。吉本だって厳しいのに、非吉本ならなおさらですよ。
出井 吉本はあれだけ劇場あって、そこでネタをどんどん面白くしていく、腕を上げていくことは努力すれば可能で。これさえやってればあとはオート運転でいけるっていうのは吉本のシステムのすごいところだけど、でもそれもある程度まで。
楢原 野心も美学もビジョンもなしに、ただただやってるだけで大丈夫?って思っちゃう。M-1決勝に出たら人生変わると思っていたけど、実際そうではなかったのは俺たち痛いほど味わってますし。
あの日のNON STYLEを見たから謙虚でいられる
――M-1で3年連続決勝進出、準優勝も経験して、全国ツアーを完売させてもなお、オートマティックにはいかないと感じている。お二人が謙虚でいられるのはなぜなのでしょうか。
楢原 芸人でいうところの小さな成功体験って「ウケる」ことだと思うんですけど、我々にとってありがたかったのは、認定漫才師として2012年の『THE MANZAI』のサーキットに参加させてもらったとき、NGKでNON STYLEさんの漫才を見てるんですよ。めちゃめちゃウケてた。信じられないぐらいウケてた。それをコンビ結成1年目で見られて。「ああ、ウケるってこういうことなんだ」ってわかったのが本当にデカかったんです。
だから自分たちのライブで「今日めっちゃウケてましたね」って言われても「いや、めっちゃはウケてないよ」って思ってしまう。あの日のNON STYLEを見てるので。
――強烈だったんですね。
楢原 これは全然ウケてない、まだまだ足りないって。だから我々は成功体験すらあんまりない。
出井 どこでトップレベルにぶつかるかっていうのも結構大事かもしれないですね。

