ヤーレンズがアクスタやチェキに対して懐疑的であることは、芸人界ではよく知られている。推し活が日本中を席巻する昨今、お笑いというジャンルもその只中にいる。お笑いと推し活はどのような関係であるべきなのか。エンタメは我々の生活においてどのような役割を果たしているのか。ヤーレンズが行き過ぎた推し活に警鐘を鳴らすその理由とは。お笑いと、それに付随する価値について、議論はあの大物野球選手のCMにまで波及していく。

ヤーレンズの楢原 真樹(ナラハラ マサキ:左)と出井 隼之介 (デイ ジュンノスケ:右) 撮影=松本輝一/文藝春秋

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お笑いと推し活の密接な関係

――アクスタやチェキをどう捉えるか、お二人が悩まれているということは、それだけお笑いと推し活は今密接になっているという証左なのだと。

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出井隼之介 確かに。

――私は野球をよく見るんですけど、たとえば好きな選手の調子が悪かったりすると、わかったような顔をしてしまう時があるんですよ。「ちょっと今、肘がね」みたいな。

出井 なるほど。そういう心理なのか。

――本来は野球というスポーツ、競技性を楽しむものなのに、変な見方になってるなって。そういうことはお笑いの世界にもあるのでしょうか。

楢原真樹 今日スベったのは「あの人失恋してるしな」みたいな。

――(笑)。「笑う」ことよりも「応援する」が先にくるとか。

楢原 楽しみ方は人それぞれでいいと思うんですよね。それがもう共依存になると幸せじゃないよとは思う。依存度が強すぎると不幸せになっちゃう。僕もサザン大好きですし、桑田さんも好きですけど、そこまで依存してないっていうか。これぐらいの距離感が健全だろうなって思う。

 

――依存のラインってどのあたりなのでしょう。

楢原 極端に全肯定、全否定になる人いますよね。そもそもそこまで依存してなかったら別に否定も肯定もない「まあこいつこうだしな」で済む。エンタメをもっとライトに考えてほしいなっていうのはちょっと思ってますね。

出井 いつもよく言うことなんですけど、エンタメの仕事ってこの世になくても生活に支障はきたさない。ないとちょっと寂しいですけど、なくてもやっていける。本当に一番尊いのは、市井の営みなんです。各々の人生が一番大事なので。皆さんの幸せが何よりも大事。その一つの彩りとして我々やらせていただいてるだけなので。

楢原 その一部になりたいだけなんだよな、その人の。本当に1割、2割でいい。