さらに700万円を渡すと、チリの“新居”に招かれることに

「体売るのは悪いことなんだから、警察に捕まるぞ。とにかくチリに帰れ」。そう説得して、成田空港で見送ることになった。

 アニータはいつも「チリでは両親の家に住んでいたけど、小さくて狭い。わたし、家欲しいから日本に来た。日本でいっぱい悪い仕事したけど、家買うお金欲しかったから」と言っていた。だから空港でドルに換えた700万円を渡したわけ。「これで家建てろ。これだけあれば大丈夫だろう」って。

 彼女はびっくりしていた。「家買ったら電話するね」って言うから、「いいから、子ども2人と幸せにやれよ」と。それでアニータとはもう終わったかなあ、と思っていたら、携帯に電話がかかってきた。

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「あなたのおかげで立派な家が買えた。いまは娘と息子と3人で住んでいます。一度、見に来てください」ってね。

千田氏から送られた金で、のちにアニータがチリに建てた豪邸。その後、青森県住宅供給公社に差し押さえられ、現在は他人が所有している(同前)

チリまで行くと「壮大なドッキリ」のような出来事が

――1997年7月、アニータ・アルバラードの誘いを受け、千田郁司は成田空港から約30時間かけてチリの首都サンティアゴに向かった。空港に到着したが、待ち合わせていたはずの彼女の姿は見当たらない。

 チリの7月は真冬なんです。俺はコートもなにもなくて、背広だけ着て行ったから寒かった。冬の青森くらい寒かった。アニータは「空港に迎えに行く」って言っていたのに、2時間、3時間経っても来ない。お土産をいっぱい買って行ったから、スーツケースを3つか4つ、カートに入れて空港でうろちょろしていた。

 警備員みたいな人から英語で「何してんの?」って聞かれた。「アニータ・アルバラードと待ち合わせしている」って言ったら、彼女(の家)に電話をかけてくれた。

 つながって、その人が「空港で待っている人がいる」と伝えると、アニータが「いますぐ行く」と。ただ、その人が、アニータは寝ていたみたいだよ、っていうようなジェスチャーをしたわけ。

 何時間も遅れて、アニータとお父さん、兄貴の3人がトラックで迎えに来た。アニータが開口一番なんて言ったと思いますか?