昼間の仕事を辞め「もっと稼げる仕事」へ
璃音には、風俗店でアルバイトをしていることを、早い段階で打ち明けていたが、それについては特に嫌がる様子はなかった。むしろ、もっと売り上げに貢献してほしいと、ストレートに言うようになったという。
アリサは、デリヘルを紹介してくれたスカウトの優次に連絡を取った。
「ねえ、もっと稼げる仕事ないかな。昼間の仕事もやめるつもりだから、時間はけっこう調整できるよ」
「じゃあ、地方に出稼ぎ行く?」
優次はそう言った。
出稼ぎとは、地方のソープランドや温泉街のチョンの間のような店に1週間から2週間ほど働きに行くことをいう。最近では、「海外出稼ぎ」といって、アジア各国や欧米、中東などに売春に行くケースもある。
アリサは、歯科衛生士の仕事を辞め、実家や学生時代からの友人とも疎遠になっていった。おカネを稼げるだけ稼いで、璃音の店に行って使う──もうそれしか頭になかったという。
「1週間から10日ほど働いて、東京へ帰る」出稼ぎ
スカウトに提示された地方の出稼ぎ案件の中から、報酬の条件が一番よかった九州のあるソープランドに行くことを決めた。
同棲しているホストの璃音からは、LINEで「頑張ってきてね」とだけ連絡が来た。
「いま考えるとね、あの頃はもう稼げればなんでもいいかなって。スカウトにとっても、たぶん私は都合がいい存在だったんじゃないかな。SMクラブとかそういうのじゃなければNGはなかったし、ソープのほうがお店のスタッフもしっかりしていそうだったし、むしろ安心かなって思っちゃうくらいだったんですよね」
九州某県にあるソープランド。
都市部とは違う何とも言えない場末の雰囲気はあったが、店で働く人材の確保が難しいからか、スタッフはアリサにはよくしてくれた。1週間から10日ほど働いて、東京へ帰る。住まいは店から歩いて10分くらいのところにある安いアパートを店が借りてくれた。
