パネル写真における過度な加工、通称「パネマジ」が平然と行われてきた風俗業界。しかし、自身を“魔法使い”と称するレタッチャーの瑞月氏は、別人のように作り変えるレタッチは行わない。
いったいどのようなポイントに気を配り、写真の修整作業にあたっているのだろうか。フリーライターの山田厚俊氏による『風俗カメラマン 「姫」を輝かせる者たちの世界』(草思社)の一部を抜粋して紹介する。
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レタッチの魔法使い・瑞月(Atelier JIL代表)
人間、誰しもがさまざまなエピソードを持っている。
本書にご登場願った人たちは、いずれも目を見張る経験をしてきた者ばかりだ。そのなかでも突出したエピソードを持っている一人が、瑞月だろう。
まずはレタッチについて解説しよう。レタッチとは、写真加工のことだ。かつてモノクロ写真の修整は、筆でニキビを消したり、髪の毛の艶出しをしたりしていた。
カラー写真になってからは、プロの手によって色補整が行われていた。それが、カメラがデジタルになり、インターネットが普及してからは写真加工アプリが出てきて、一般ユーザーでも容易に加工が可能になった。
風俗業界でもキャスト本人がスマホアプリ加工したり、カメラマンが納品の際、AIソフト等でレタッチを施すのも増えている。そのため、現在のレタッチの専門職は修整のみならず、合成や加工のより高い技術を要求されている。
吉原に通って30年以上のMは語る。
「昔から写真修整はありましたが、ネットが主流になってから写真加工技術が格段に上がり、女の子をよく見せようとして過度な加工が増えた時期がありました。パネルマジック、いわゆる“パネマジ”と呼ばれるものです。今も店舗の掲載画像は映え系修整パネマジが散見する一方で、写メ日記やSNSなどへの投稿は素に近い画像も多く見られるようになったと感じています」
新しい技術が出てくると、試行錯誤はつきものだということだろう。そのようななかで、瑞月はレタッチを専門とした仕事に就いた。誰もが一期一会の出会いと別れを繰り返しているが、紆余曲折の人生模様が瑞月には幾重にも積み重なり、現在に至っている。
