長崎市の最南端に位置する野母半島から西へ約4キロの沖合に端島がある。通称、軍艦島。明治時代から昭和時代にかけて海底炭鉱で栄え、一時は島内の人口密度が世界一になるなど、まさに炭鉱バブルの象徴でもあった島だ。
1974年に炭鉱が閉鎖してからは無人島になっているものの、世界文化遺産に登録され、コロナ禍を除いて毎年20万人もの観光客が訪れる観光名所になっている。
私が軍艦島に興味を持ったのは、2024年に放送されたドラマ「海に眠るダイヤモンド」がきっかけだった。島で釣りができないか……? 調べていたところ、なんと、竿を出せる方法が見つかった。
その頃、季節は秋。地理的に北西風が強まる冬季は渡島が困難になると考え、すぐに長崎へ発つ準備を始めた。世界遺産でもある軍艦島ではたして何が釣れるのだろうか? 観光視点では味わえない軍艦島の裏側を、釣り視点でリポートしていく。
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軍艦島で釣りをするための“裏ルート”
軍艦島に渡るには「軍艦島上陸クルーズ」に申し込み、ツアーガイドに伴われて渡島するのが一般的。しかし、その方法では島内を見学できても島から釣りをすることはできない。というのも軍艦島は大きな外壁に囲まれていて、壁を越えて内外を行き来できないようになっているのだ。つまり、軍艦島で釣りをするには渡船で壁の外側に着けてもらう必要がある。
さらに調べると、渡船を行う船宿は「第七ゑびす丸」一艇のみ。出発地は長崎県の南端に位置する野母半島高浜町にあり、朝5時半に釣り人を乗せて出港するとのこと。
当日に長崎に向かったのでは到底間に合わないため、友人と広島駅で合流し、前日の夜から車で6時間、本州を抜け長崎県を縦断するロングドライブを試みた。
私が助手席で意識を飛ばしてる間、友人は順当に高島町の乗船港まで完走してくれた。夜明けを前に複数の釣り人を乗せ、船は軍艦島へ向けて出港した。
出港してすぐに姿を現した栄枯盛衰の島
港を出ると、まだ薄暗い海の向こうに異様な輪郭をした島が姿を現した。
ネットで見たような廃墟感までは窺えないが、なんだか圧が強い。曇り空も相まってか、ゲームの最終ステージを前にしたような身震いを覚える。



