1月24日、中国人民解放軍の制服組トップで、党中央軍事委員会副主席の張又侠、および同委員の劉振立の失脚が明らかになった。結果、中国軍の話題はすっかりこの一件で覆い尽くされてしまったのだが、昨年末にもっと直接的な「怖い事態」があったことを、読者各位はご記憶だろうか?
それは、中国軍が3日間(12月29日~31日)にわたり台湾を囲んでおこなった大演習「正義使命2025」だ。台湾周辺での大演習は、2022年8月におこなわれて以降、年に1回程度の割合で発生。だが、昨年末の演習は同一年内に2回目(初回は4月)であり、明らかに不穏だ。
中国軍の狙いを“台湾の孔明”が語る
1月16日に台北市内で、『文春オンライン』の筆者の記事ではおなじみの淡江大学国際事務與戦略研究所副教授、林穎佑氏(台湾の孔明)から、本件について詳しい話を聞いた。彼は人民解放軍研究を専門分野とし、台湾の国防白書も執筆する軍事学者だ。
従来、研究者の立場から慎重な意見を述べがちだった同氏。だが、昨年末の「正義使命2025」については強い懸念を滲ませている。
日本ではこの大演習について、同年11月の「高市総理の台湾有事発言に中国が怒ったから」といった意見もあるのだが、どうやら実態はそれほど簡単ではなく、もっと深刻な事情がありそうだ。さっそく話を聞いてみよう。
