林 台湾でもそれを言う方はいますが、そこまで極端ではないでしょう。習近平はまだ72歳ですから、なにかを焦るまでにはまだ時間もあります。
ただ、2027年の不安要因は、秋の中国共産党の第21回党大会(二十一大)でしょう。前の党大会(二十大)があった2022年も厄介な年でしたからね。ロシア・ウクライナ戦争が起き、夏には中国軍が(習近平政権下で最初の)台湾を囲む大演習をはじめた。あと……。翌年の2028年も厄介で、個人的にはこっちのほうが面倒な気がしています。この年は選挙イヤーで、アメリカの大統領選と台湾の総統選がある。
末端が勝手に始める可能性はある
──なるほど。ビッグイヤーが続きますね。
林 こういう微妙な年には、軍事はより慎重であるべき、という考えもあります。しかし、さっき言ったように(忖度合戦になった中国側の現場が党大会を前に忠誠を示すために)ショーをやらなきゃいけない、功名を見せなきゃならないという理屈で、中央の意向を超えて妙な動きをする可能性はあります。
──偶発的事態が起こりやすくなるかもしれませんね。
林 はい。ちなみに「偶発的事態を避ける」という(台湾や日本で用いられる)言いかたは、私としてはよくないと思っています。むしろ、偶発的事態が発生した場合に双方がどのように対処するのかを考えなくてはいけない。相互の(事態をエスカレートさせない)暗黙の了解や、(水面下の)コミュニケーションが求められます。
偶発的事態の対処に失敗すれば大変なことになります。たとえば盧溝橋事件においても……。
──はじめは数発の銃声があっただけ。
林 しかし、それがエスカレートしてしまいました。日本の過去の戦争も、そうやって始まったわけですからね。
