高市首相の発言が原因ではない
──ちなみに、11月7日に日本では高市総理の台湾有事発言がありました。なので日本では「高市さんが余計なことを言ったから中国が怒ったんだ」みたいに言う人たちもいますが。
林 うーむ。例の高市発言はまったく無関係とは言えないですが、主要な理由ではないです。むしろ、今回の中国は大演習を通じて日本にこう言いたいわけですよ。「台湾有事はお前らと関係ないだろ」って。それを見せつけたいわけです。
中国は台湾と事を構えるにあたって、日本と戦争することを望んでいない。実際、昨年末の演習エリアは台湾島をぐるっと取り囲んだように見えて、北東方向だけポカっと空いている。石垣島方面を避けているんです。
──なるほど。台湾有事になっても、日本はひとまず戦火を避けられる。すくなくとも中国の意向としてはそうであると。
林 ええ。ただし、日本を介入させないための中国の戦略は、東アジア地域全体の地政学から考える必要があります。キーになるのは、2025年9月3日に中国がおこなった「中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利80周年」の大規模軍事パレードです。あのとき、天安門の壇上にいたのは……。
──習近平・プーチン・金正恩と、こわいメンツがずらっと並びましたよね。
林 はい。あの一件から、昨年末の大演習は連続しています。すなわち今後、習近平が台湾に(軍事的に)対処するときは、プーチンが日本に対処します。さらに金正恩は韓国に対処する。たとえば、昨年12月の中国の大演習のとき、ロシアが軍事演習の動き(※)を見せましたよね。
※注:ちょうど中国の演習期間中、ロシアが北方領土での演習実施の予定を通告
中国が実際に台湾に対処する際も、ロシアが同時に軍事行動を起こせば、自衛隊や在日米軍は北海道に釘付けにならざるを得ない。兵力を(南西諸島方面と)二手に分ける羽目になる。韓国も北朝鮮との緊張が高まり、動けない。
