――いじめの記憶を振り返って、どう感じていますか。
大河内 見返したい気持ちは、当時はあったと思います。作家として有名になってやる、みたいな。
――その頃の同級生と再会する機会はありますか。
大河内 同窓会とかはないんですけど。私が発信を始めたあと、中学の同級生から「当時はごめん」とDMが来たことはあります。でもその人に直接何かされたわけではなかったので、返事に困りました。
一番イラッとしたのは、いじめ当事者の同級生から「当時は辛かったと思うけどいじめの経験とか話せばバズると思う」みたいに上からアドバイスされたことです。「いじめ当事者が、どの口が言ってるんだ」と思って。そういうのはありますね。
大河内さんが発信を続けるワケ
――大河内さんは発信することによって、どんな変化を求めていますか。
大河内 まずはレックリングハウゼン病という病気を知ってもらうこと。外見に対する偏見や差別が少なくなればいいと思います。
――難病ということで、いろいろわかってないことも多いんでしょうか。そもそも合併症についても、最初のお医者さんからは聞けなかったんですよね?
大河内 高校生の頃受診したときは合併症の話は出なかったですね。肌の良性の腫瘍が気になるなら取れるけど「何もやることはないんだよ」という対応でしたね。だから病院行く必要もないんだと思って、ずっとほったらかしでした。
レックリングハウゼン病の人は、日本に4万人いると言われています。症状が軽い人は自分が病気だと気づいていない場合もある。私もそうでした。でも合併症のリスクは同じようにある。例えば乳がん発症のリスクは、一般の人よりだいぶ高かったりもする。だから、発信が誰かの検査につながればいいな、と思っています。
――大河内さんの今後の目標を教えてください。
大河内 ガラスは続けたい。作品をもっと展示したい。学校やフリースクールで「自分らしく生きる」をテーマに講演もしてみたいです。そしてやっぱり、大東駿介さんと対談や講演をしたいですね。5年以内には叶えたいです。年齢的に大人になりすぎる前に(笑)。
――揺らぎませんね。
大河内 発信したら会えた、という成功体験があるので。「夢は口にしたほうがいいんだ」と思っています。
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熱で溶け、形を変え、ゆっくり冷えて固まるガラス制作の工程のように、痛みと時間を経て少しずつ輪郭を作ってきた大河内さんの人生はこれからも続いていく。外見ばかりでなく、その人の物語を見てほしい。大河内さんは、怒らず、諦めず、静かに願い、発信を続けている。
写真=細田忠/文藝春秋
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