河﨑 いま、猟友会に参加する若い人が増えていると聞きます。
藤本 そうですね。ただ、後進を指導できる人がいないのが現状です。本来ベテランハンターであるはずの人も、今はクマを獲ったことがない人が多いんです。『夜明けのハントレス』にも、猟友会会長の新田や、伝説のハンター・アヤばあといったベテランハンターが登場し、一緒に山に入りながらマチに指導しますが、実際、狩猟というのは見て覚え、聞いて覚えの世界ですから。
河﨑 小説の取材でいろんなハンターの方にお話を伺ったのですが、狩猟を始めたきっかけは人それぞれだと感じました。害獣駆除のために狩猟免許を取ったという大学生の方もいらっしゃれば、趣味として始めて、その上で害獣駆除に協力されている方もいる。もちろん猟銃所持に伴う責任はあると思いますが、その上で、何を動機として猟をするのかについては、正解というものはなく、個人の意見を持つ自由が許されている印象を受けました。
藤本 小説でも、考え方が異なるハンターたちが出てきていましたね。ハンター同士のやりとりや猟友会の様子が実にリアルでした。
河﨑 お話を聞かせてくださったハンターさんたちのお陰です。うちの実家は北海道の東部で酪農をやっているので、周りではシカを駆除するために狩猟免許を取る人もいたのですが、私は狩猟免許は持っていないんです。藤本さんも、狩猟免許は持っていらっしゃらないんですよね。『OSO18を追え』を拝読して、銃を持たないからこその狩猟へのかかわり方があるのだなと感じました。
「シカやクマが私の前に現れることが多いんですよ」
藤本 山の中に入ると、シカやクマが私の前に現れることが多いんですよ。猟銃を持ってないんで来られてもどうしようもないんですけど(笑)。周りのハンターたちは、私には殺気がないんだって言うんです。やっぱり銃を持っていると微かに殺気が出てしまって、動物はそれを感じ取るんだ、と。
河﨑 見えてくるものも違ってきそうですね。
藤本 ハンターはスコープの中の獲物を見ますが、私はスコープを覗いているハンターを後ろから見ているので、視野が違うんです。たとえば、獲物の手前でバッと土煙が上がったとか、後ろの木の枝がバサッと揺れたとかで、外れた弾がどこにいったかも分かる。そういう意味では、ハンターの相棒役ですね。
