いまの防大にハラスメントはない?

——これからの防大はどう変化していくべきでしょうか? 

松田 防大における女子学生の割合は2026年度から約21パーセントに増えるんですよ。

——ずいぶん大幅な増員ですね。

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松田 実際のところは少子高齢化の影響による人手不足の側面が大きいですが、これまでの「防大女子」の足跡が評価された結果でもあると思っています。そのため、防大では女子の指導官を手厚くするべく動いています。

 女子学生の居づらさは解消されつつあるようです。今後、部隊で活躍する女性が増えることで、自衛隊全体の判断の質が上がっていくことを期待しています。

防大生時代の松田さん(本人提供)

——それは朗報ですね。

松田 私が在籍していた時代から、防大は大きく変わりました。とくにコロナ禍以降、教育方針が大きく変わっています。最近では、「上級生が下級生に指導しづらくなった」「教官が介入してくることが増え、自主自律の精神が弱くなってきている」「理不尽な指導は減った」などの声をよく聞くようになりました。

——一般と乖離したハラスメントはなくなってきたと。

松田 そうですね。腕立て伏せの回数も減ったし、私が1学年のときにはなかったゆっくり歯磨きができる時間もある。「清掃に不備があった」「上級生に気を使えていない」などの理由で毎日のようにあった上級生からの呼び出しも、いまは禁止です。

訓練では小銃を構える(本人提供)

——学生にとっては嬉しいでしょうが……。

松田 私の受けた防大の教育を手放しで「いい」とはまったく思いません。どう考えても理不尽なこともありました。ただし、厳しい環境が精神を鍛え、同期の絆を深めてくれた側面があることも事実です。もちろんハラスメントはなくすべきですし、時代の流れから考えても「厳しい指導を復活させよう」とはおそらくならないでしょう。それは部隊も同じです。

 ただ、いまの環境に対して「同期の絆は確実に弱くなっている」「個人の権利を主張しすぎる」といった声も聞こえてきます。それは実力組織としては非常にマイナスでもあります。