晩婚や少子化、食生活の欧米化に伴い、乳がん患者は過去20年で約2倍に膨れ上がっている。はたしてこの現代病に打ち克つ術はあるか。女性のがん1位でありながら意外と知られていない乳がんのリスク&対策決定版!(初出:「週刊文春 電子版」2025年10月24日配信)

9人に1人が罹患する女性のがんの第1位

「乳がんは40代から70代まで、幅広い年代の女性に罹患者が多い悪性腫瘍です。乳がんの早期発見・早期治療を行わないと、骨や肺、脳などにがん細胞が転移して落命の危険もある恐ろしい病気です」

 そう警鐘を鳴らすのは、老年科専門医で、名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科の下方浩史教授だ。これまで、40年以上に渡って老年病(高血圧症や糖尿病、動脈硬化などを指す)の研究を続けてきた。

 厚生労働省の「人口動態統計」(2023年)によれば、年間の死者数は約1万5800人。部位別のがん死者数(女性)では、乳がんは第5位。特筆すべきは、乳がんの罹患者数だ。

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「全国がん登録罹患データ」(21年)によれば、乳がんの女性罹患者数は約9万8800人。9人に1人が罹患するとされ、部位別のがんの罹患者数では、女性のがんの第1位である。

女性の罹患率が高い乳がん ©fotoco

 同データで年代別の罹患率を見ると、30代後半以降に急激に高まり、40代後半から70代半ばにかけてピークを迎える。

 多くのがんは高齢になるほど罹患率が高まるが、なぜ乳がんでは30代後半から罹患者が多いのか。

乳がんの発症には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関与しています。エストロゲンに晒される期間が長いほど、乳がん細胞の発生や増殖リスクが高くなるため、初潮が早かった人や閉経が遅い人、高齢出産の人、出産経験のない人や少ない人は乳がんになりやすいことが分かっています」

下方教授

 エストロゲンは妊娠の準備を整えたり、肌の潤いや骨密度を保つ重要な役割を果たす一方で、乳がん細胞の発生や分裂を促すデメリットも併せ持つのだ。

「乳がんはもともと欧米に多い疾患ですが、晩婚化や食生活の欧米化に伴い、日本でも90年代以降に急速に増加し始め、患者数は、05年時点と比較して約2倍にまで膨れ上がっています。まさに“現代病”といえる乳がんですが、発症リスクを把握し、早期発見に向けた対策を打てば、十分治療可能な病気です」

 そこで、「90歳まで健康長寿」を目指す女性のために、意外と知られていない乳がんの7大リスクと対策について解説する。

この続きでは、●ビール大瓶1本以上で発症リスク2倍 ●BMI5増でリスク3割増 ●検診受診率は未だ5割以下 などのトピックを下方先生の解説とともに取り上げている。記事の全文は「週刊文春 電子版」で読むことができる。また、本連載をまとめた書籍『90歳まで健康長寿』も好評発売中》

次の記事に続く 過去20年で約2倍増に…乳がん「意外と知らないリスク」を専門家が解説、早期発見のため“受けるべき検診”とは?