晩婚や少子化、食生活の欧米化に伴い、乳がん患者は過去20年で約2倍に膨れ上がっている。
「“現代病”といえる乳がんですが、発症リスクを把握し、早期発見に向けた対策を打てば、十分治療可能な病気です」
そう語るのは、老年科専門医で、名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科の下方浩史教授だ。下方教授が説く「意外と知らない7大リスク」とは?(初出:「週刊文春 電子版」2025年10月24日配信)
最大のリスクは5割未満という乳がん検診受診率の低さ
まず、(1)乳がんにおける最大のリスクは、先進国でも最低レベルと言われる、日本人の乳がん検診受診率の低さにある。
「乳がんは罹患者が多い割に、5年生存率が高いのが特徴。大前提として、早期に発見して手術や化学療法を施せば、健康を取り戻せるがんなのです」
国立がん研究センターらが発表した「院内がん登録 2014-2015年5年生存率集計」(23年)によると、乳がんの5年生存率は91.6%(女性)。部位別のがんで、女性の死亡者数が最も多い大腸がんの5年生存率が71.1%(女性)であるのと比較すれば、非常に高い生存率である。
「ステージⅠに限れば、5年生存率は98.9%です。ただし、骨や肺などにがん細胞が遠隔転移したステージⅣとなると5年生存率は39.8%まで急落する。早期発見のためには、国が推奨する乳がん検診が必須です」
ところが、問題は国内の乳がん検診率の低さだ。
厚生労働省「国民生活基礎調査」(22年)によれば、乳がん検診の受診率は47.4%と、5割を切る。
「厚労省によると、米国が76.5%(19年)、英国は74.2%(20年)、韓国が65.9%(20年)ですから、先進国中でも最低レベルといえます。日本は、自治体によって無料あるいは数千円の補助金が出るにもかかわらず、乳がんの検診率は低空飛行のまま。助かる命を自らなげうつような状態で、決して見過ごせません。40歳からは必ず2年に1度の乳がん検診を受診しましょう」
乳がん検診にはいくつか種類がある。受けるべき検診とは何か。
「乳がん検診はマンモグラフィと超音波を受けてください。マンモグラフィは痛みが強いので嫌がる女性が多いのですが、乳腺の細かい部分まで見える利点があります。超音波は痛みがないものの、検査技師や医師の技量によっては見落としもある。マンモグラフィと超音波検査を毎年交互に受けるようにすると、見逃しも少なくて済みます」
続いての知られざるリスクは、(2)乳がんの5〜10%を占めるといわれる遺伝性乳がんのリスクである。
《この続きでは、●ビール大瓶1本以上で発症リスク2倍 ●BMI5増でリスク3割増 ●検診受診率は未だ5割以下 などのトピックを下方先生の解説とともに取り上げている。記事の全文は「週刊文春 電子版」で読むことができる。また、本連載をまとめた書籍『90歳まで健康長寿』も好評発売中》

