胃を荒らすNGな習慣や胃薬から、粘膜を保護する食事まで、胃がん撃退法の決定版。(初出:「週刊文春 電子版」2025年10月16日配信)

胃がんは特に男性に多く、大腸がんに次ぐがん死の第3位

「胃がんは自覚症状が少ない厄介な悪性腫瘍です。気づいたときには、既にがんのステージが進行している場合が多い。早期発見・早期治療がその後の生存率を大きく左右します。日頃から胃に負担をかける生活を送っている人は、手遅れになる前に、早めの対策を打たなければなりません」

 語気を強めてそう語るのは、老年科専門医で名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科の下方浩史教授だ。

 これまで、40年以上に渡って老年病(高血圧症や糖尿病、動脈硬化などを指す)の研究を続けてきた。

ADVERTISEMENT

 国立がん研究センターの最新の統計によれば、胃がん患者数は11万2881人、年間死者数は3万8771人にのぼる。特に男性に多く、患者の68%と女性の2倍以上を占め、肺がん、大腸がんに次ぐがん死の第3位だ。

高齢男性は特に注意

“ピロリ菌世代”ともいえる75歳以上は特に注意が必要

「近年、がんのリスク因子が様々な研究によって加速度的に明らかになっています。遺伝的要因もあるため、家族や親族が胃がんになった人は要注意。ただし、胃がんの最大の環境的要因は、ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)の感染です。ピロリ菌の感染率と胃がん罹患率は相関関係にあり、医師によっては約99%とも言われますが、私の実感では胃がん発症の95%にピロリ菌が関与しているものと考えています」

 ピロリ菌は、胃の粘膜に棲みつく細菌である。通常、胃酸という強酸性環境下で細菌類は生息できないが、ピロリ菌は例外。一度感染すると胃の中に棲み続け、少しずつ粘膜を傷つける。

「ピロリ菌は、不衛生な飲み水などから経口感染するとされています。主に5歳以下で感染し、大人での感染は稀。昔の日本では、井戸水や川の水を殺菌せず飲んでいたため、上下水道が急速に整備される前の1949年以前に生まれた人は4割超がピロリ菌に感染していたとの愛知県がんセンター研究所の報告もあります」

 “ピロリ菌世代”ともいえる75歳以上は特に注意が必要なのだ。