日経平均が5万円台を突破し、株価は上昇を続けている。だが、その裏で進行するインフレは、私たちの生活を確実に圧迫し始めている。レオス・キャピタルワークス代表取締役社長の藤野英人氏は「対応した人と対応しない人で、素敵な未来と残酷な未来が分かれてしまう」と警鐘を鳴らす。物価上昇よりも給料を上げられるか――インフレ時代の戦いは始まっている。(全2回の1回目/続きを読む

【最新版 2026年の投資戦略】日経平均最高値をどう見た?|住宅価格の上昇よりも怖い「家賃上昇」|フジMHの自社株買いへの評価|「責任ある積極財政」の功罪

(初出:「文藝春秋PLUS」2026年2月14日配信)

インフレが株価を押し上げる二つの要因

 文藝春秋PLUSの番組「BUNSHUN MONEY SCHOOL」に出演した藤野氏は、日本市場について「『インフレ時代』というのがキーワードでしょう」と語った。

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 藤野氏によれば、インフレは株価を二つの側面から押し上げる。「株価は『利益(EPS)』と『人気(PER)』の掛け算で表せます。インフレ下では利益も人気も上がりやすくなるため、この2つの相乗効果で株価が上昇しました」

 実際、日経平均は2月26日に5万8753円の最高値(2026年2月26日現在)を記録した。物価上昇率の約2倍のスピードで株価が上昇している計算だ。

NISAが円安を招くという皮肉

 一方で、円安がインフレを加速させている側面もある。藤野氏が注目するのは、新NISA制度だ。

「地味ながらかなり効いているのが新NISAです」と藤野氏は指摘する。若い世代を中心にNISA口座の開設が進み、20代30代が60代70代よりも証券口座を持つ比率が上がった。

藤野英人氏

「ここ5年ほどのパフォーマンスは外国株の方が良かったため、投資先として外国株への比重が非常に高くなっています。『オルカン(オール・カントリー)』や『S&P500』といった米国株の比率が高いのです。結果として、日本の国富で大量の円を売り、ドルを買って外国資産を購入している状況です」

 国が税制優遇で支援する制度が、皮肉にも円安を後押ししているという構図だ。