コンビニで300円のたまごサンド。当たり前の日常風景だが、ロンドンやニューヨークでは1200円で売られている。レオス・キャピタルワークス代表取締役社長の藤野英人氏は、このたまごサンドの価格差に、円安と日本の物価が抱える構造的な問題を見出す。味の変わらないたまごサンドに4倍の値段を払う――その意味とは何か。(全2回の2回目/はじめから読む)
(初出:「文藝春秋PLUS」2026年2月14日配信)
「円安がインフレを誘引している側面も」
文藝春秋PLUSの番組に出演した藤野氏は、現在の為替状況について「円安に向かいすぎている」と明言した。円安が株高を後押ししている面は確かにあるものの、その副作用も大きい。
藤野氏が指摘するのは、円安とインフレの悪循環だ。「円安がインフレを誘引している側面もあります」。一方、アメリカ側も「『少しドル高が行き過ぎているのではないか』と、トランプ大統領も懸念している」という。ドル高になりすぎると、米国の輸出競争力が失われるからだ。
高市政権の円安容認論が批判されたのも記憶に新しいが、藤野氏は「日本もアメリカも、これ以上の円安は許容しがたいという雰囲気になっているのではないでしょうか」と分析する。
「たまごサンド」が象徴すること
円安の実感を最も分かりやすく示すのが、食品の価格差だ。藤野氏はセミナーでよくたまごサンドの話をするという。
「日本のたまごサンドはコンビニで買うと280円から320円ほど。セミナーで『たまごサンドはおいしいですか』と尋ねると、『おいしいけれど、まあ普通』といった反応が返ってきます」
ところが海外では状況が一変する。
「ロンドンやニューヨークでは1000円から1200円ほどで売られています。3~4倍の値段なのだからさぞおいしいだろう、と思うかもしれません。
しかし、実際はおいしくない。個人的には、日本のものより3倍はまずいと言いたくなるほどです」
