「美」を手放してでも役作りを徹底
内田監督が目を見張ったのは、北川のストイックな役作り。財布からお金を出す動作にまで気を配る細やかな演技のみならず、外見にもリアリティを追求。脱色し青く染めた髪に、着古した服という格好に加え、
「ほぼ全編にわたり、完全ノーメイクで撮影しました。彼女が演じることで、いわゆる“美しすぎるシングルマザー”になる懸念があったのですが、杞憂でした」(同前)
「美」を手放してでも役作りを徹底する場面は、『ばけばけ』でも。夫が武士から転身し織物工場を営むも経営難に。その夫が亡くなり工場は倒産、家は没落する。
視聴者に衝撃が走ったのは生活に困窮したタエが物乞いに身をやつすシーン。髪はほつれ、肌は浅黒く、着物の衿は黄ばみ、回を追うごとに汚れていった。制作統括の橋爪國臣氏が「本当に役者魂がすごい」と、撮影の裏側を明かす。
「物乞いを演じることに抵抗を示されることは全くありませんでした。むしろ北川さんから『もっと汚しましょう!』と提案があり、我々が思っている以上に、どんどん汚れた姿になってくれた。徹底して物乞いになろうとする北川さんの思いに美術やメイクスタッフも応え、よりよいシーンになった」(同前)
俳優・北川景子「第2章」への期待感
所作指導を務めた藤間豊宏氏もこう称える。
「物乞いの姿になっても、お姫様の品のいい佇まいが失われることはなく、流石だなと思いました」
今年不惑を迎える北川。前出の内田監督は、俳優・北川景子の「第2章」にこう期待を寄せる。
「台詞は完璧、感情のオンオフは自由自在でいつでも涙を流せる。そんな職人的な部分に加え、20代、30代で積んできた人生経験とキャリアが、内面の演技にも磨きをかけている。今後ますます開花していく女優さんだと思っています」
女優人生の新たなページが開かれようとしている。




