この成功の秘訣は、黒岩勉の脚本のうまさもある(韓国ドラマの三幕構成を忠実に踏襲、伏線を切れ目なく打ち込んでゆく手法など)が、それだけではない。単なる“一人二役”ではなく、物語上の“整形前の早瀬陸”を松山ケンイチ、“整形後の陸(儀堂歩として生きる)”を鈴木亮平が演じることで、視聴者が「別人なのに同一人物」を追いかける構造を成立させた。

ホリプロが打ち出した“禁じ手”

芸能プロは、自社所属の複数の主力俳優を同番組に出演させることを避けてきた。しかし、2022年6月にホリプロの社長に就任した菅井敦は、映像・マネジメント両部門の役員を歴任してきた実務型の経営者として手数を広げている。鈴木亮平、松山ケンイチの二枚看板を“あえて”同じドラマに出すという「禁じ手」に出たのだ。

地上波では、主演級の俳優と売り出し中もしくは今後売り出したい俳優などを組み合わせて出演させる、「抱き合わせ出演(通称バーター)」というシステムがよく採られてきた。だが、主演級を同時に出演させることは、従来は「食い合う」と避けるものだ。

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はたして、その勝算はどこにあるのか。

実は、菅井のこの戦略は一貫している。ドラマ「リブート」の例は、タブーを打ち崩し、自社の所属俳優を最大限に活用するという点において、先日発表された「2時間サスペンスドラマ」を映画シリーズ「2時間サスペンス THE MOVIE」として復活させる動きとも地続きである。

姿を消した2時間サスペンスとの共通項

日本のテレビドラマ文化を象徴するジャンルとして多くの視聴者を魅了し、昭和・平成の時代に民放テレビ局で盛んに作られてきた2時間サスペンス。私も過去に幾度となく制作を手掛けた。しかし、今では地上波からすっかりその姿を消した。その理由は大きく2つある。

1つ目は視聴ターゲットの問題だ。2時間サスペンスは視聴率自体はそこそこ取れるものの、視聴者層は高齢寄りになりがちで、生活必需品、自動車、住宅、金融、家電など、広告主が重視する購買力の高い層、いわゆるコア(13〜49歳)とはズレが生じている。地上波による広告費収入が激減するなか、マーケティング指標としての「コア視聴率」はますます重視され、その層への訴求力が弱いジャンルは編成上、厳しい判断を迫られる。