2023年WBCで優勝した侍ジャパンの監督を務めた栗山英樹氏。当時のチームには大谷翔平やダルビッシュ有といったメジャーリーガーが多く参加し、活躍を見せた。そんな中、栗山氏が「どうしてもということで先に決めていた」選手が2人いる。メジャーリーガーや、村上宗隆・岡本和真といった国内スラッガーでもなかったという選手は、いったい誰なのか。

 数々の激闘を制した采配の裏側で、指揮官が日々記してきたノートと、栄冠への軌跡を描いた書籍『WBC 世界を制した采配の秘密 三原ノートと栗山メモ』(三木謙将・金沢隆大著/文藝春秋刊)から一部を抜粋してお届けする。(全4回の1回目/続きを読む

栗山氏が、いの一番に招集したかった2人の選手とは? ©文藝春秋

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 視察を重ね自ら招請に動き交渉をやり遂げた。職人が生地を選び採寸・裁断してスーツを仕立てていくように、丁寧にチームを作り上げた。栗山が思い描いた動きに柔軟に対応できる布陣となった。

 練りに練った人選の中でも特徴的なのがピッチャーの編成だ。代表の半分を占める15人を選んだのだ。就任当初から掲げていたのは「投手力を中心に守り抜く野球」。スタッフ会議でもその信条は曲げずに、15人の枠を投手で使うことにこだわった。その理由をインタビューで明快に語った。

「ピッチャーで勝つと言って枚数が足らなくなることだけは避けたい。継投で迷わずにつぎ込めるようにするため」

 WBCではピッチャーに球数制限が課せられている。その内訳は1次ラウンドでは65球、準々決勝は80球、そして準決勝と決勝は95球。50球以上は中4日、30球以上か連投をした場合は中1日の登板間隔を空けなければならない。

 そのため、投げられるピッチャーが限られている。さらにはピンチの場面、追いつかれた時、または左打者相手にぶつける左投手などあらゆる状況に対応できるように投手陣を充実させたかった。

 そうした中で一番のサプライズといえば、オリックスの宇田川優希の選出だろう。