コメ作りの姿勢が、元DJにも届いた

関さんの影響を受けているのは、子どもたちだけではない。

「スノーボードをやっている時、チームの先輩たちから学んだのは『自分に自信を持って、全開でやらなきゃダサい』ということ。だから農業も全開でやるし、それをアピールしてきました。そうしたら最近、僕の周りで同世代とか若い農家の人がすごく増えてきたんですよ」

同じ南魚沼で240年以上にわたってコメを作ってきたこまがた農園の10代目、駒形宏伸さんも、そのひとりだ。世界一のDJを決める国際大会で優勝経験を持つ元DJの駒形さんは、コメ作りに本腰を入れると決めた時、関さんに指導を仰いだ。その後、国内最大級コメの食味コンテスト「第17回お米日本一コンテスト」で最高金賞を受賞している。

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「関智晴はコメづくりの師匠です。稲作を誰よりも深く理解し、情熱を持って向き合う姿に常に刺激を受けています。ぼかし肥料や栽培技術はもちろん、商品づくりやブランディングにいたるまで多くを学んできました。その教えが私の農業の土台となっています」

「おいしいとはなんなのか」みつけた答え

コメを究め、「超高級米」という市場を切り拓いてきた関さんがいま見据えているのは、「地域」。「ワインでいえばブルゴーニュみたいに、南魚沼を米の聖地にしたい」と語る。その一手が、2022年の秋にリニューアルオープンした直売所「FARM FRONT(ファーム・フロント)」だ。

関農園の田んぼの前に建つ、地元の木材をふんだんに使用したおしゃれなカフェのような直売所では土鍋で炊いたコメを使った塩むすびを提供している。

「おいしいとはなんなのかをひたすら考えた結果、その米が育った田んぼを見ながら塩結びにして食べたら、めっちゃうまいんじゃね? ということです」

ファーム・フロントは新潟県外からも多くの来客があり、最大100人を超える行列ができたこともあるという。関農園のコメにそれだけの吸引力があるということは、新たな手ごたえになった。南魚沼がブルゴーニュのように観光客を引き寄せる場所になれば、産地が活気づく。「コメの聖地化」に向けて、すでに周囲の若手農家と相談を始めているという。