さらに、コメの「香り」と「うま味」を高めるために改善を重ねたのが、父の代から開発している肥料。「本当にきれいな香りと旨みをコメにのせるにはどうしたらいいか」という視点で「動物性アミノ酸」が不可欠という結論になり、日本料理の出汁をイメージして、米ぬか、魚の粉、こんぶ、カニ殻を使った「ぼかし肥料」を作った。もともとアミノ酸の宝庫だった関農園の田んぼの土にこの肥料を加えることで、味と香りが変化した。

「うちの田んぼって、ミジンコとかイトミミズがすごくたくさんいるんです。そのエサになるような目に見えないレベルの菌や微生物もめちゃくちゃいると思うんですよ。これらの菌や微生物が産卵したり、排せつしたり、動きまわることで、柔らかく栄養豊富な土ができる。それがやがてうちの田んぼのなかで死んで、分解される。この生命の循環が一番良質なアミノ酸だと考えています」

前人未到「日本一のコメ農家」の誕生

2012年にスタートした「味度」と「うま味」の攻略に費やした期間は、2年。満を持して迎えた2014年、関さんは「第16回 米・食味分析鑑定コンクール」で金賞を受賞する。

ADVERTISEMENT

ここから、「日本一」への歩みが始まった。同コンクールではその後、6年連続金賞に輝く。

それだけではない。コメの総合メーカー、東洋ライスが2015年にスタートした「世界最高米」の認定は、「米・食味分析鑑定コンクール」の金賞受賞者だけを対象にしたもので、毎年5、6人だけが認定される。関さんは2017年から4年連続で、この称号を得た。米・食味分析鑑定コンクールで6年連続金賞、世界最高米4年連続認定は前人未到。関さんは自他共に認める「日本一のコメ農家」になった。

日本一を目指す過程で、コメの売り方も変えた。2020年に関農園のオンラインショップを立ち上げ、父親の代では農協に卸していたコメを消費者に直接届ける道を選んだ。価格は、スーパーで買うコメより何倍も高い。それは、自分が作るコメへの自信であり、それだけの価値を認めてくれる人がいるはずだというチャレンジでもあったが、なにより、コメ農家としての危機感があった。