就農してから5年も経つと、「うちはいいコメを作っている」というプライドを持つようになり、「それを知られていないのはもったいない」と思うようになった。スノーボードのケガから復帰した2011年のことだ。
その頃、コメのコンクールがあると知った。「これだけこだわって作ったうちのコメはどう評価されるだろう」という好奇心で応募した。「もしかしたら、いい評価を得られるかもしれない」という淡い期待はしかし、あっさりと打ち砕かれた。箸にも棒にも掛からなかったのだ。その悔しさが、胸の内に引っかかっていたのかもしれない。
ある日、東京でスノーボードの仕事の打ち合わせがあり、車で上京した。帰り道、関越自動車道を走っている時に、ふと思い出した。
「あ、今日はコンクールの決勝大会の日だ」
群馬県の川場村で開催されていたのは、「第13回 米・食味分析鑑定コンクール」。関さんは高速道路を途中で降りて、会場に向かった。初めて足を踏み入れたコンクール会場で、関さんは目を疑う。想像をはるかに超える広い会場は、3000人ほどの来場者で賑わっていた。そのなかでも、10人ほどの生産者の周りに人だかりができていた。
「なんだ、この世界は! あの人たち、スターじゃん! 超すげー!」
「オタク気質」に火がついた
人ごみをかき分けて、スターと挨拶を交わす。アドバイスを求めたかったが、常に人に囲まれていて、ゆっくりと話をできる状況ではなかった。周りを見渡してほかの受賞者に声をかけると、おおらかに質問に答えてくれた。
この瞬間、関さんの「オタク気質」が震えた。その受賞者ともっと話したいという気持ちが抑えきれず、宿泊するホテルを聞いて、その場で予約。コンクールが終わった後、ホテルでさらに話を聞いた。長い1日が終わる頃には、メラメラと燃え上がっていた。熱気冷めやらぬ関さんは、翌日に帰宅すると前のめりになって父親のところへ向かった。
「コンクール見に行ったんだけど、めちゃくちゃすごかったぞ! 絶対うちも目指していかないとダメだ!」