――家のドアを作るんですか?

井上 作ります。何でもやってみて、何でも作ってみる。ドアも実際に作りました。古い家に住んでいると床板を全部抜いて、床を張るところからやるので、それで「床ってこうやって張られていたのか」「家はこうやってできているんだ」と分かるんです。なので今では、何か物が壊れた時には便利屋さんに電話をして頼む前に、18歳の長男が「俺、できるよ」とパパッとやってくれたりします。

 ある時、息子が通学中に友達の自転車が壊れた時に直したことがあったんですけど、息子は帰ってきてから「ママ、他の友達はみんな、直し方を知らないんだよ」と話していました。そうやって直せるよって言える人を私はかっこいいなと思っちゃうんですよ。だから子供は本当にたくましく見えています。

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筆者撮影

結婚や人づきあいは“修行”「結婚して心が広くなった」

――ただ東京で仕事がある時は移動が大変だったそうですね。

井上 昼ドラの仕事がある時は長野から東京まで車で片道3時間かけて移動していました。疲れがひどい時はサービスエリアの駐車場で仮眠をとっていたし。取材の仕事の時は子どもを連れて行っていたり大変でした。

――あと当時パートナーからは、東京に行く時に作り置きしたご飯を置いていかないとダメだと言われていたそうですね。

井上 感覚が「普通」じゃないですよね。でもね、結局「普通」ってないんですよ。みんな人それぞれの基準がある。その基準が「それでいいの?」って思うくらいに、みんな違う。だから、本当に結婚して心が広くなりました。私は結婚や人との付き合いは“修行”だと思っているんです。どんな苦労からでも学べる。

 夫婦関係は「はい、消えた」とはできないですけど、それ以外の人間関係では「今はこの人といると疲れるから会わない」とできる。そこも断捨離ですね。昔より交友関係は少しずつ狭まってきているかもしれないですけど、自分が楽であるのがいいので。

熊本地震で被災、テントと車中泊の避難生活

――井上さんは2011年、37歳のときに長野から熊本に移住します。そして2016年には熊本地震に遭います。

井上 今は地震当時とは別の場所に住んでいます。地震の頃に住んでいた場所は危険区域になりましたし、トラウマというか怖くていけていないんですよ。家も全壊したので。当時、友達の家も地震で全壊して。私たちと一緒に2家族で避難生活をしていました。子供たちはテントに寝させて、親は車中泊していました。