浴場旅のフィナーレは、京都市のキングオブ銭湯と名高い、1933年開業の船岡温泉で迎えた。旧・料亭旅館の建築を浴場に改築してあり、風呂屋の水準をはるかに超える豪奢な装飾に彩られた脱衣所や浴場は、国の有形文化財にも登録されている。開店時間前には、店主が美術館さながらの浴室の見どころを丁寧に案内してくださった。そして、一番風呂を目指してどっと入ってきた地元客と一緒に、名残惜しくも最後にして最高峰の大衆露天風呂と、本国に帰ったら絶対に出会えない日本人好みの熱々熱気浴型サウナを、しっかり堪能した。

船岡温泉の芸術的な浴場に一同うっとり 撮影:こばやしあやな

温浴体験を通じて、日本らしさそのものを堪能

 こうして盛りだくさんの日本浴場ツアーは無事に閉幕し、後日参加者からは賛辞とフィードバックをどっさりいただいた。彼らが一様に口にしていたのが、日本の温浴体験は浴場内だけで完結しない、という点だ。浴場が気持ちよくて千差万別なのは言うまでもなく、どこに行ってもアメニティや副次サービスの質・ご飯の美味しさ・人々の細やかなホスピタリティすべてに感銘を受けたという。そう、それこそが、日本が世界に誇れる豊かな浴場文化の姿だ。

「温浴体験を通じて、日本らしさそのものを堪能できた旅だった」と、ある人はアンケートに書いていた。やはり見知らぬ土地の浴場で入浴することは、それまで縁のなかった誰かの暮らしの深層部にまで思いを巡らせることのできる、好奇心と慈愛に満ちた素敵な営みなのだ。

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 だから私はこれからも、この世界をもっと知るために、浴場旅を続けていくのだろう。

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