サウナの本場・フィンランドで、サウナ協会会長や歴史研究者を務める“筋金入りのサウナマニア”たち。そんな彼らを日本に招き、関西・中部エリアのディープな浴場を巡るツアーが決行された。

 大阪の下町銭湯では未知の「電気風呂」に悲鳴を上げ、地元のおばちゃんに助けられる。名古屋のある施設では心が揺さぶれるほどのアウフグースを体験。そんな珍道中が紹介されるのが、フィンランド在住のコーディネーター、サウナ文化研究家のこばやしあやな氏による『世界浴場見聞録』(学芸出版社)だ。ここでは、同書の一部を抜粋し、本場のサウナエリートたちが、日本の銭湯や最新サウナ施設で体験した驚きについて紹介する。

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世界の浴場を巡って確信した日本の湯の豊かさ

 サウナに限らず、日本のあらゆる浴場文化は世界に誇るべき無二の心地よさや楽しみ方に満ちている。その思いは、世界中の浴場を訪ねてまさに確信に変わった。だからこそ私はずっと、サウナの国フィンランドの事業者や愛好家たちにも、それら肌で体験しに来てもらいたかったのである。

 フィンランド人を引き連れた初の日本浴場ツアーが実現したのは2024年の10月。参加してくれたのは、地元のサウナ協会の会長や、高名なサウナ史研究者、私のように世界サウナ巡りを趣味としている女性など、フィンランド人のなかでもとりわけサウナ愛とこだわりの強い5名だった。

 というわけで、ここからは彼らの日本浴場旅の珍道中レポートをお楽しみいただきたい。

里山のサウナで日本流の「ととのう」を体感するフィンランド人 撮影:こばやしあやな

DAY1 下町銭湯を巡り、電気風呂とナニワの人情にてんやわんや

 約1週間にわたる彼らの日本旅行は、関西空港発着で関西・中部エリアに絞ったルートを巡った。全員、今回が日本初上陸(そして全員、体は元気だが無理は禁物なリタイア世代)。到着日は大阪ミナミの天王寺に宿をとって休み、翌朝からお待ちかねの浴場旅を開始した。

 初日は、頼もしい地元ガイドが終日アテンドをしてくださった。「新世界」で知られるコテコテの下町・新今宮エリアの人気銭湯、入船温泉のオーナー夫妻だ。ちょうどお店が改修期だったので、絶賛工事中の無人の浴場を特別に見学させてくれた上に、銭湯経営者目線でのディープな案内役を買って出てくれたのだ。