2023年のWBCで、日本中の期待を背負って帰国した大谷翔平。メジャーのスターとなった彼は、母国の舞台でどのように迎えられ、何を見せようとしていたのか――。
アメリカのベテラン記者、ジェフ・フレッチャー氏の著書『SHOーTIME2.0 大谷翔平 世界一への挑戦』(訳=タカ大丸、徳間書店)より一部を抜粋し、世界を熱狂させた“二刀流”の帰還と、その舞台裏に迫る。(全4回の1回目/2回目に続く)
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WBCグッズのために夜明け前から何百人もの行列
アリゾナにあるエンゼルスのスプリングトレーニング施設で2週間を過ごしたあと、大谷翔平はWBCに向けて帰国し、熱烈な歓迎を受けた。
大谷が2017年に日本ハムファイターズでの最終戦に出場して以来、日本のファンが彼を見る機会はアメリカからのテレビ中継に限られており──それも時差の問題で都合がいい時間帯ではなく──あとは太平洋を渡って直接見にいくしかなかった。
「ものすごい盛り上がりだよ」
大谷が日本の地で再びプレーすることについて、「スポーツニッポン」のMLB担当記者、柳原直之は語った。
「WBCのグッズを買うために、夜明け前の3時とか4時から何百人もの人が店の前で行列をつくっている」
日本ラウンドのWBCでは球場で打撃練習
日本のファンが大谷の帰還を喜んでいるのと同じように、大谷もまた、自身が日本でプレーできることに喜びを隠さなかった。
メジャーに渡ってから、大谷は球場で打撃練習をすることがほとんどなく、いつも室内のバッティングケージで練習していた。ファンなら誰でも、彼が打撃練習でどこまで遠くへ飛ばせるのかを見たいものだが、大谷は自ら、スポットライトが当たらない場所でテクニックの微調整を続けることを選んだ。
だが、日本ラウンドのWBCでの大谷は、球場で打撃練習をした。
「日本のファンに自分の力を見せたかったのだろうね」
そう語るのは「フルカウント」の記者、小谷真弥だ。
「イチローの姿を見ながら成長してきて、何かをお返ししたい気持ちになったんじゃないかな」
