2023年のWBC決勝、日本とアメリカが激突した歴史的な一戦。その直前、日本代表のロッカールームで大谷翔平が仲間たちに語りかけた言葉があった――「憧れるのをやめましょう」。やがて試合は、誰もが夢見た“あの対決”へとたどり着く。
アメリカのベテラン記者、ジェフ・フレッチャーの著書『SHOーTIME2.0 大谷翔平 世界一への挑戦』(訳=タカ大丸、徳間書店)より一部を抜粋し、2023年WBC決勝で生まれた伝説の瞬間を描く。(全4回の4回目/1回目から読む)
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「憧れるのをやめましょう」大谷の感動的なスピーチ
決勝戦を前に、大谷翔平が日本代表のロッカールームで感動的なスピーチをしている動画がSNSで公開された。
「憧れるのをやめましょう」
そう大谷は言った、と「ロサンゼルス・タイムズ」の翻訳者が伝えた。
「もし憧れてしまえば、超えることができなくなります。僕たちはここに勝つために来たのであり、頂点に辿り着くためにここにいるわけです。1日だけ、あの選手たちへの憧れを捨てて勝ちにいきましょう」
栗山監督は、本気でアメリカを倒しに来ており、先発メンバーにはオールスターとMVPが勢ぞろいしていた。
日本代表には剛球投手がそろっていて、最後の最後に大谷が控えていた。栗山監督は、そんな投手たちを1イニングか2イニングずつ小刻みに投入し、アメリカ打者陣にスキを与えないつもりのようだった。
今永昇太は、最初の2イニングを担当し、1回に乱調はあったものの、トラウトに二塁打を許したのと、2回にトレイ・ターナーに献上したソロホームランによる1失点だけで乗り切った。
日本はすぐにこの失点を跳ね返し、村上宗隆が2回裏に本塁打を放った。そのまま安打と内野ゴロの間に2点目を取る。さらに、岡本和真が4回裏に本塁打を放って、追加点を入れて3ー1とリードを広げた。
戸郷翔征、高橋宏斗、伊藤大海、翁田大勢が順々に日本ブルペンから送り出され、次々とアメリカ打線を抑えていく。
