1点リードで必ずトラウトに打順が回るという、完璧な舞台が整った
一方で、大谷は登板の準備を始め、レフトフェンスの向こうにあるブルペンで打席の合間に走り始めた。そして、大谷が幼少時から憧れていたアイドルの1人で、同じくメジャーリーグ投手であるダルビッシュ有が8回表にマウンドへ向かい、大谷は登板に向けてさらに準備を進めた。
ダルビッシュは、カイル・シュワーバーにソロホームランを献上し、2点リードから1点差に迫られてしまう。
さらに、ターナーがシングルヒットで出塁し、アメリカとしては好打順だ。7番打者のJ・T・リアルミュートが内野フライに打ち上げ、次のセドリック・マリンズも外野フライを打ち取られたが、二番打者であるトラウトまで、9回には確実に打順が回ってくる。
トラウトは、大谷が登板している間に自分の打順が回ってくるかどうかはとくに深く考えないと言っていたが、この試合を見ていた観衆全員が、これから起こる事態を認識していた。
8回裏に日本代表が攻撃している間に、大谷は素早くブルペンで数球投げ込んだ。
外野フェンスの扉が開かれ、大谷が9回のマウンドに向かい始める。1点リードで必ずトラウトに打順が回るという、完璧な舞台が整った。
大谷の四球に対する反応を見てアメリカ代表監督は驚かされた
2016年の日本シリーズ以来、大谷にリリーフ登板はなかったが、明らかに士気が高揚していた。
ジェフ・マクニールに対する2球目は、102マイル(約164キロ)の直球で地面に当たった。最終的に大谷は99マイル(約159キロ)の速球を投じ、マクニールのひざ下に外れたボールで歩かせることになった。
アメリカ代表のマーク・デローサ監督は、大谷の四球に対する反応を見て逆に驚かされたという。
「あの男はどんな大舞台も大きく感じないみたいだ。きわどい球でジェフ・マクニールが歩くことになっても、まったく動じる様子を見せなかった」
先頭打者に四球を与えることは、大谷にとっては厄介な事態になる恐れが十分にあった。その後、アメリカ打線には3人連続で、MVPを受賞したことのある強打者が待ち受けていたからだ。
ムーキー・ベッツ、トラウト、そしてポール・ゴールドシュミットだ。
