「サナエチョコ」が象徴するもの
安田氏が番組で披露したのは、台湾で実際に販売されている「高市早苗チョコレート」だ。似たデザインで「安倍晋三チョコ」も存在したという。
「これはいただき物ですが、市販されているものです」
このチョコレートをくれたのは、ウクライナ戦争に義勇兵として従軍した台湾人だった。
「彼は非常に気さくな人物で、『おお、日本人か!』と歓迎してくれ、『日本人なら嬉しいだろう』と言ってこのチョコレートをくれました」
ところが、安田氏が「私は高市さんを支持していない」と伝えると、相手は「それは申し訳ないことをした」と謝罪。SNSに写真を上げる際には、わざわざ“サナエチョコ”の部分をモザイクで隠したという。
「台湾は社会の分断が激しいため、『自分の意思で政治的立場を明確に表明するのは良いが、そうでない人に特定の政治的立場を押し付けるべきではない』という認識が彼らにはあるようです」
「ようやく私たちの気持ちを分かってくれましたか」
しかし、この経験を通じて安田氏は、これまで在日台湾人から聞いていた「日本人と関わるときの面倒くささ」の意味を理解したという。
「私たち日本人も、台湾の方に会うと『李登輝さんはすばらしい』としか言わない『李登輝bot』になっている人が大勢います。台湾の人々からすれば、その度に困惑しているのが実情」
台湾人の友人にこの話をしたところ、「ようやく私たちの気持ちを分かってくれましたか」という反応が返ってきた。安田氏は、日本人が台湾を「李登輝」か「台湾有事」でしか語らないのと同じように、台湾人も日本を「高市早苗」でしか語らない現状を指摘する。そこには、互いの社会を深く理解することの難しさが横たわっていた。

