中学1年生でヤンキーになり、北関東で名を轟かせたレディース「魔罹啞(マリア)」の総長を務めた廣瀬伸恵さん(47)。ヤクザと付き合うようになり、覚醒剤に溺れ、売人となって逮捕。出所後に売人に戻るも、妊娠中に指名手配されて逃亡生活の果てに2度目の逮捕となった。

 2度の逮捕と服役を経て、現在は建設会社「大伸ワークサポート」の社長として、刑務所や少年院の出所者を社員として迎え入れ、更生と社会復帰をサポートしている。当時の行為については深く反省し、更生の道を歩んでいるという。

 そうした過去をあえて語るのは、同じような境遇にある人たちに現実を伝え、再犯防止や更生の一助になればとの思いからだ。

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 そんな彼女に、服役中の出産、それを機に決意した更生、出所後の苦労、建設会社設立の経緯などについて、話を聞いた。

廣瀬伸恵さん(47)

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手錠と腰縄したまま分娩台へ

――刑務所で作業中に破水し、手錠と腰縄は付けて、外の病院へ行ったそうですね。

廣瀬 前期破水なのに全然陣痛が来ていないとお腹の子がヤバいというので、まず羊水を増やす点滴をして、子供が元気になったのを見計らって陣痛を引き起こす促進剤を打って。その間も手錠と腰縄したままです。

――まさか分娩台に乗る時も手錠と腰縄ですか。

廣瀬 そうです。「こんな状況だから逃げられるわけがない。外してよ」って言ったけど、向こうは「規則だから」と。

――分娩室にも刑務官が。

廣瀬 3人棒立ちです。「頑張れ」もなく、無言でただ見てるっていう。で、陣痛がきて、本当に記憶がぶっ飛ぶぐらい痛くて。何時間経ったかわからないですけど、ポコッと産まれて、オギャーと泣いたのを聞いて「ああ、終わった」って安心して。

「はい、あなたの子よ」って看護師さんに抱かせてもらったけど、抱いていたのは本当に一瞬。たぶん何十秒とか。「しかし、しわくちゃだな」とか「でも、いとおしいな」とかっていろんな感情が押し寄せてきたんですけど、「はい、じゃあこの子は乳児院ね。お母さん、刑務所に戻るよ」ってすぐに移動することになって。

 産んだばかりの子供と離れさせられちゃうのが、とにかくつらくて。でも規則だし、そこでわめこうが怒鳴ろうが何しようが無理じゃないですか。諦めて大人しく戻りました。

――お子さんとの写真は撮りましたか。

廣瀬 写真は看護師さんが撮ってくれました。赤ちゃんを抱っこしているところを1枚。今も大事に持ってます。

――乳児院にいるお子さんの様子が気になりますよね。

廣瀬 私の姉や母が乳児院に見に行ってくれて、手紙で様子を書いてくれたり、面会に来てくれるたびに写真を見せてくれたりしました。